ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ウツワ

2020.09.24 THU.

オンラインショッピングをもっと楽しく便利に。 LINEを通じた、新しい接客のカタチ。

今年4月末から、〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(以下GLR)〉がコミュニケーションアプリ「LINE」を通じた接客サービス(以下LINE接客サービス)をスタートしました。オンラインショッピングの際、お客さまが感じた商品についてのさまざまな疑問に対して、販売スタッフが直接対応するというものです。店舗に直接赴くことが容易でなくなりつつある昨今、より満足していただけるお買い物体験の実現に向けて発足させたもの。オンラインショッピングが盛んになる中でも、ユナイテッドアローズでは、人と人との触れ合いが生む最良のコミュニケーションを目指しています。本サービスについて、現場を担当する第二事業本部 販売部6課課長 楡井 誠さんとGLR町田店店長の町田 和実さんにお話を伺いました。

Photo:Shinpo Kimura
Text:Masashi Takamura
Illustration:DOI SENA

LINE接客サービスが生まれた背景とは。

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外出自体が憚られる時世柄、ECサイトの需要が高まる昨今、ユーザーの満足度を高めるオンラインショッピングのサービス拡充は欠かせない要件といえるでしょう。4月末にスタートしたGLRのLINE接客サービスの内容は、月曜日〜金曜日の11時から18時の間、販売スタッフがLINEを通じて該当商品についての問い合わせ対応を行うというもの。一部の店長と有志を含む選抜メンバーが、GLRの在庫が揃う本社の仮想店舗で行います。こうした施策に取り組むきっかけとなったのは、やはりコロナ禍だったそう。

楡井:「都市圏で緊急事態宣言が発令された4月頭は、ほぼ全店クローズという状況でした。そんな中、LINE接客サービスの企画が社内で発足し、販売部からも人員の協力を、と参画することになりました。その時期、店頭に立てなかった販売スタッフのノウハウが効果的に活かせる場が生まれたのが何より良かったと思います」。

ーLINE接客は、新規の業務だけに苦労されることもありますか?

町田「オンラインショッピングでは、画像と文字情報だけでは商品の特徴が伝わりにくいもの。このサービスのメリットは、経験のある販売スタッフが臨機応変に対応して、そうした不十分な情報を補足できることだと思います。そうは言っても、対応については、やはり生身の人間のやりとりですから、不十分な部分などもあるかもしれません。が、すぐに策を講じて対応できるのも、人間だからこそ。どのようにお伝えするのが最適か、日々ブラッシュアップを重ねています」。

ー人対人による行き届いたコミュニケーションが、このサービスの勘所ですね。販売スタッフのモチベーションアップにも繋がるのでは?

楡井:「今まで商品のお問い合わせは、すべてカスタマーサービスデスクになっていました。もちろん、販売経験のあるスタッフも配属されていますが、それだけでは十分とはいえません。このシステムを導入してから改めて感じるのは、現場を知る販売スタッフの気配りです。大変頼りになりますし、このコロナ禍の現状で、店舗での接客にやりづらさを感じている中、LINE接客という新しい接客方法をどう良くしていくか、各スタッフが日々探求してくれています」。


LINE接客サービスを実際に体験!

このサービスがどのようなものか、架空のユーザー「緑野 花子さん」でシミュレーションしてみましょう。まずは、LINE内でGLRオンラインストア公式アカウントに友だち登録。ストアサイトに移動して、気になるアイテムを見つけたら、商品ページに移動します。画面を下にスクロールすると、LINEアイコンとともに「LINEで販売員に相談する」というフキダシがポップアップ。これをクリックするとチャット相談がスタート。

町田:「素材感やサイズでのお悩み、画像ではわからない仕様の確認など、何でもお気軽にお問い合わせください」。

緑野さんが気になったのは、チェック柄のパンツ。シックな色みとすっきりしたシルエットがお好みのポイントだそう。早速、アイコンをクリックしてチャットを開始します。質問したのは、複数の色が混ざるチェックの色みでした。これについては、実際の商品を寄って撮影し、素材感とともにスタッフが返答。その結果、ブルーが悪目立ちせず、むしろアクセントとなることがわかって、緑野さんもひと安心。また、緑野さんが質問したパンツのシルエットについては、背格好が似ているという町田さんが着用した画像を撮影してイメージをサポートします。

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LINEの友だち登録を済ませたオンラインストア内のGLR商品ページには、LINEお問い合わせのアイコンがポップアップ。ここをクリックすることで、LINEのやりとりが可能に。

4_R__1345okオンラインショップの詳細画像ではわかりづらい商品の色みを撮影し、イメージの相違がないように努めます。

町田:「柄や色みとシルエットは、よくいただくご質問です。試着ができないぶん、着用した雰囲気をお伝えすることが、特に大事だと考えています。試着するスタッフは、できるだけお客さまの体型に近い人を選びたいので、ときには、店舗勤務のスタッフを借り出すこともあります(笑)」。

5_R__1308ok6_R__1312okフロント、バックを撮影した着用画像の用意や、プラスアルファの提案など、実際の店舗と同じような接客になるよう努めている。


やり取りの中でプラスαの提案をしていきたい。

ー希望されたアイテムを着るシーンや、着こなしのイメージを共有して、より満足度の高い買い物体験の提供を心掛けています。

楡井:「お客さまの質問に、一問一答形式でただ答えていくだけでは、サービスとして不十分だと考えています。もしかすると、AIにでもできるかもしれませんよね。販売スタッフですから、その経験を生かした周辺情報の提供は不可欠。“こういったアイテムはいかがですか?”“このように着こなしてみてはいかがですか?”というように、提案を上乗せして、ご希望の商品をいっそう楽しんでいただきたいと考えています。それがまた、オンラインショッピングでの付加価値の提供になるのではないでしょうか」。

町田:「難しいのは、そのバランス感です。押し付けがましくてもいけないので。お客さまそれぞれのご要望もコミュニケーションしていく中でうまく引き出して、自然に提案できればと思っています」。

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実際、このシミュレーションでは、友人と出掛ける際に着ていかれる服をお探しだという緑野さんが、“トレンド感を意識したい”という具体的な着用イメージをお持ちだったため、キレイめなノーカラージャケット&プリントTシャツという着こなしをご提案。結果、他のアイテムはお手持ちのものと合わせることになり、最初に気になられていたパンツの購入を決定。該当商品をショッピングバッグに入れればすぐに購入手続き完了と、スマートフォン一つで簡潔する仕組みです。

8_R__1358ok9_R__1369okお客さまが購入を検討されているパンツに合わせたコーディネートを仮想店舗で撮影。より具体的な提案ができるよう心掛けている。

町田:「ご提案は、単純に着こなしの不安に対するソリューションなので、お手持ちのものがワードローブにあれば、それで代用していただければいいんです。そういう点も含めて、実店舗に近い細やかなサービスができればと思っています」。


サービスをスタートしての反響と今後の展望。

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ーサービススタートから5カ月程ですが、コロナ禍の日常において、ECサイトの利用が増加する中で、現場での手応えは感じていますか?

楡井:「コロナ禍の中で店舗での買い物に抵抗がある方や、仕事で忙しく買い物の時間が取れない方など、お客さまそれぞれにさまざまな事情があると思います。お子さまがいらして自由に動けないなど、単純に遠方であるとか、あるいは、都市部に出るリスクを避けたいだとか。実際に買い物をしたくてもできない方々が、このサービスを利用することによって、買い物がしやすくなったという声は多くいただきます」。

町田:「使ってみて、“思ったより早かった”というものや“思ったより丁寧”という反響も多いですね。これは、お客さまが想像されているのが、おそらくAIによる味気ない対応なのではないか、ということだと思うんです。実際は、販売スタッフが全商品を置いている本社の仮想店舗を走りまわって対応していますので、そういった“人間味”を感じていただけているのだと思います」。

ー実際に利用したユーザーがSNSに投稿し、「神対応!」と反響を得たこともあるそうですね。

楡井:「あるお客さまが、パートナーへのギフトとしてご利用になられて、担当者がメッセージのやり取りをさせていただく中で、パートナーさまへのお祝いのコメントを添えたそうです。商品はもちろん、そういった対応にも嬉しい反応をいただきました。自画自賛にはなりますが、まさに経験のある販売スタッフならではの対応だと感じました」。

ー対面でないからこそのご苦労もありそうですが、やり取りをする中で何か心掛けていることはありますか?

町田:「お忙しい中でのLINEのやり取りですから、お問い合わせいただき、こちらから返信したきり…という場合も時折あります。それでも、LINE越しとはいえども、接客をする機会が生まれたのですから、営業日の終業時間前にメッセージを一通必ず添えるようにしています」。

ー絵文字やスタンプなど、LINEを使ったコミュニケーション特有の距離感の近さも反響を呼ぶ一因なのでしょうか?

楡井:「たとえオンラインだとしても、本質は“人と人”。店舗同様の気配りをすることで、たとえ対面でなくてもリアルな接客を提供することが可能だというのが、本サービスの原点にはあります。いずれにせよ、こうした時世ですので、お客さまがご自身でいちばん都合のよいサービスを使っていただければ、という想いがあります。まずはLINE接客サービス自体の認知を高めることが、一番の目標です。

ーサービス発足当初に比べて、このセクションでの勤務を希望する有志のメンバーも増えていて、社内のムードも変わりはじめているといいます。このコロナ禍をきっかけに生まれた新たな接客が、ポピュラーになっていくのではないでしょうか。

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PROFILE

楡井 誠

第二事業本部 販売部6課 課長 2003年にGLR品川店にアルバイト入社。都内近郊の店舗を経て、2010年に港北店で店長に就任。その後川崎店で店長とスーパーバイザーを兼務し、2016年から現職。

町田 和実

ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング 町田店 店長 2011年入社。ルミネ新宿店配属。2015年に町田店へ異動となり、2017年より店長として就任。現在はLINE接客にも携わり、リアルとデジタルの両面で接客を担当している。

JP

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