ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ウツワ

2019.10.11 FRI.

「SHIBUYA HARAJUKU FASHION FESTIVAL」が変えていく、日本のファッションの未来。

毎年3月と10月に、東京ファッションウィークに合わせて渋谷エリアで行われてきたファッションのお祭り「SHIBUYA FASHION FESTIVAL」通称「シブフェス」。セレクトショップや専門店が参加して、さまざまなイベントを開催してきました。Vol.16を迎える今回はエリアを原宿まで拡大し、「SHIBUYA HARAJUKU FASHION FESTIVAL」=「シブハラフェス」として、2日間にわたってバージョンアップされることに! なかでも「TRUST FASHION」=“ファッションの信用”をコンセプトに実施される、渋谷川遊歩道(キャットストリート)を使用しての「TRUST FASHION St.」は、最注目コンテンツ。ファッションを通じて、サスティナブル、エシカルな試みを提案するマーケットイベントで、ユナイテッドアローズもブース出店します。 プロデュースするのは、アタッシェ・ドゥ・プレスとして多くのブランドのPRを手がけ、数々のイベントを仕掛けてきた松井智則さん。「シブハラフェス」に込めた熱い想いと、描く未来について伺いました。

Photo_Masahiro Arimoto
Text_Aya Kenmotsu

「祭」で人を巻き込んで、ファッションと渋谷の街を盛り上げる。

―Vol.16を迎える「シブフェス」。今回は、原宿にエリアを拡大して「シブハラフェス」として新しいスタートを切ります。

松井:行政も民間も巻き込み、多くの人の協力を得て、B to B、B to Cを飛び越えた街を上げての大きなイベントに成長しました。僕もわくわくしています。参加店舗は約250店、10万人の動員を見込んでいます。

―そもそも、2011年に「シブフェス」を始めたのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

松井:僕はずっと、アタッシェ・ドゥ・プレスでいろいろなブランドのPRをしてきましたが、その多くは、実店舗を持たない小規模のブランドでした。オーダーが入った分だけ服をつくって、セレクトショップなどに展開します。ところが、2008年のリーマンショック以降、日本国内の小売店が、そういう小さなブランドを扱わない時代が続いたんです。これはまずい、と思いました。それで、“国内の人が買ってくれないなら、海外の人に買ってもらおう”という、そんなシンプルな発想が、そもそもの始まりでした。日本だけでなく、韓国や台湾と合同で展示会をやって、アジアはもちろん、欧米のバイヤーさんに来てもらおう、と。

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―毎回、シブフェスは、東京ファッションウィークの時期に合わせて開催されていますね。

松井:N.Y.コレクションには約8万人、パリコレクションは約6万人もの人が集まると言われていますが、それに比べると、まだまだ東京コレクションは規模が小さいんです。なので、展示会をやっても、来てくれるのは数百人でした。ショーと合同展示会だけでは人は来ない。それなら、「祭」があれば盛り上がるんじゃないか、と。それで、2011年3月に第1回「シブフェス」を開催したのです。

僕、人を巻き込んで楽しいことをやるのが好きなんですよ。寂しがり屋なので(笑)。それに、岐阜出身なので、祭の集客力を実感として知っているんですよね。

―開催場所を渋谷にしたのはなぜですか?

松井:当時、経済産業省のクール・ジャパン戦略推進事業をお手伝いすることになったことをきっかけに、全国各地の地域産業のプロデュースの仕事をたくさんいただくようになりました。そんななか、自分が10年以上働いてきて、愛着を感じている渋谷・原宿という街について改めて考えてみたんです。“この街の地場産業ってなんだろう”と。それは、やっぱりファッションなんですよね。実際、神南のセレクトショップが集まるエリアなんて、まさに宝ですよ。あんな場所は、海外にだってどこにもない。でも、ファッションを盛り上げるために何かをやっているかというと、やっていない。だから、ひとつおもしろいお祭りがあったら、もっと街が盛り上がるのでは、と思ったんです。

―ファッションで渋谷をPRするということですね。

松井:それまでアタッシェ・ドゥ・プレスとしてやってきたことを、もっと大きなプラットホームでやろうとしたわけです。渋谷中のセレクトショップをまわって話しましたよ。「今始めなきゃまずい気がする」って。でも、「シブフェス」が実現できたのは、昔からずっと仕事してきた同年代の人たちが出世してそれぞれの会社で偉くなっていた、っていうのが一番大きな理由なんですけど(笑)。アシスタント時代に金がなくて中目黒の居酒屋で一緒に飲んでいた仲間たち。みんな、「いいよ、松くん、やろうよ」って、協力してくれたんです。


ファッションの街・渋谷に、再び人が戻ってきている

22014年3月に行われたシブフェスの様子。

―これまで、「シブフェス」を15回開催してきたなかで、渋谷・原宿はどんなふうに変化したと感じていますか?

松井:ファッションの街として、また人が戻ってきているように感じます。約20年前、僕が上京してきたころは、テレビや雑誌で撮られたくて、みんながすごくおしゃれをして渋谷・原宿を歩いていたんですよね。でもその後、下北沢もおしゃれ、吉祥寺もいいね、と他の街に注目が集まるようになって、さらにはテレビや雑誌に撮られなくても、自分でSNSに上げられる時代になった。

―ファッションが個々に楽しむものになっていったということですね。

松井:でも、そうやって自分ひとりで撮ってSNSに上げることに、だんだん疲れてきているように感じるんです。そして、みんなでおしゃれして出かける、という楽しさを再び求め始めている。そんなときに行く場所が、渋谷・原宿であってほしい。そのために、街の“感度”をもっと上げていければと思っています。

―世界から見て、東京、渋谷は、どんなふうに見えていると思いますか?

松井:合同展示会を始めてアジア各国をあちこちまわるなかで、その急激な経済発展を見続けてきました。だからずっと、日本の未来について、非常に危機感を感じています。今でこそ、中間層としてはバンコクや香港、上海に勝ってはいますが、経済発展力としては負けている。人口も減っていきますし。今はおもしろがられている東京も、オリンピックが終わったらどうするのだろうと、ふと考えることがあります。

だから、ゆくゆくは、渋谷・原宿だけじゃなくて、東京全体を盛り上げることができたらいいなと思っています。ファッションウィークの時期に限らず、日本国内からはもちろん、海外からも人が来てくれる場所にしたい。自分が住んでいる街を“世界中の人に好きになってもらいたい”と、結構本気で思っています。


ファッションから広がっていく新しい世界を思いきり楽しんでほしい。

―「シブハラフェス」を通して伝えたいことはどんなことですか?

松井:今回、キャットストリートジャックにあたって、僕たちはひとつの重要なテーマを掲げました。それが「TRUST FASHION」、つまり「ファッションの信用」です。キャットストリートを「TRUST FASHION St.」と銘打って、テーマに沿ったショップの出店や展示などを行います。

「TRUST FASHION」とは、これからの時代に信用できるもの、ということです。キーワードでいうと、「サスティナブル」、「エシカル」、「バリアフリー」、「アップサイクル」といったことですね。循環型の社会を実現するために、ファッションからできることを提案していこう、という企画です。

―具体的にはどんなことが行われるんですか?

松井:僕たちが今年8月にスタートさせたファッションプロジェクト「EQUALAND」がプロデュースをする形になります。「EQUALAND」では、衣服のスタッフクレジットを生産段階から製造者まで記載した「信用タグ」や、休眠資産の発掘などで、信用のおける新しいファッションカルチャーの確立を目指しているんですが、そうしたコンセプトに沿った企画が、ストリートで開催されます。

「TRUST FASHION」のコンセプトに合うブランドや、アパレルに限らず、サスティナブルな取り組みやブランドの出品もあります。余乗在庫をコンテンツ化して販売する、お得な企画もありますよ。

―「TRUST FASHION」というテーマが誕生したのには、何か理由があるんでしょうか?

松井:やっぱり、時代の変化ですね。生産や流通といったファッションに関わるさまざまなことについて、ブランドや小売主導ではなく、ひとりひとりが選択をするべき時代になった。モノの価値や仕組みを理解し、あるべき方向に変えていこうよ、という新しい試みを、「シブハラフェス」を通してみんなに見せたかったんです。

―全体のテーマ、「FASHION IMAGINE PEACE」も印象的です。

松井:今回からの新しいテーマです。世界中を旅していると、平和じゃないとおしゃれも楽しめないと本当に実感するんですよね。今、この国が平和である幸せをかみしめて、おしゃれをしてほしい。

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―若い人たちへの強いメッセージを感じます。

松井:ファッションというと、洋服のことととらえられがちですが、それだけじゃないんですよね。ファッションは、その人のスタイル、生き方につながっている。「シブハラフェス」を通して、“自分なりのスタイルを確立することがファッションなんだ”ということを体感してもらえたら嬉しいです。

とにかく、「ファッションって楽しいな」と感じてほしいんです。そして、発信する僕たちやお店側からすれば、「ファッションを極めている人ってかっこいいな」と思われたい。かっこいい大人に触発されて、「私もこの街で働きたい!」と思ってもらえたら、すごく嬉しいですね。

ファッションを基軸に、本来なら出会うことのなかった人やものがつながり、触発しあって、未来をよくしていけたら。「TRUST FASHION」や「FASHION IMAGINE PEACE」には、そういう願いも込めています。


ユナイテッドアローズの取り組みを実際に見られるブース。

ユナイテッドアローズも「シブハラフェス」でブース出店をします。会社としてのCSR活動が目に見える形で、実際に手に取って触って、確かめられるチャンスです。

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一人一人の“着る”の悩みに向き合う、041 FASHIONプロジェクト。

障がいや病気を理由に、毎日着る服のことで様々な悩みを抱えている方がたくさんいます。“ひとりを起点に、新しいファッションをつくる”をコンセプトに、一人一人の服の悩みに徹底的に向き合い、解決するために考え尽くされ、生まれた服が「UNITED CREATIONS 041 with UNITED ARROWS」です。フェス当日は実際の商品を試着&購入することができます。それぞれの服にどのような工夫が凝らされているのか、実物に触れて確かめてみてください。

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羽毛の再利用を推進する、グリーンダウンプロジェクト。

羽毛は再生可能な資源であることを掲げ、羽毛循環サイクル社会を目指す活動団体「一般社団法人グリーンダウンプロジェクト(GDP)」。これに賛同した〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉は、2015年から店舗でダウンの回収とリサイクルダウンを使用したオリジナルのダウンの販売を行なっています。フェス当日は、GDPによるプロジェクト紹介のほか、ダウンの回収を行います。もう着なくなったダウンジャケット(ダウン率が50%以上のもの)などがあれば、お持ちください。

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乳がんの早期発見を啓発する、ピンクリボンキャンペーン。

ピンクリボンは乳がんの早期発見の大切さを伝えるシンボルマーク。当日のブースでは、ピンクリボン運動を推奨する、認定NPO法人乳房健康研究会よりあらためて啓発活動の内容を紹介いただくとともに、ユナイテッドアローズ社の7つのストアブランドで販売中のキャンペーンアイテムを紹介します。

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被災地復興支援に携わる、ピースウィンズ・ジャパン。

認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、緊急援助物資の配布をはじめとする緊急人道支援のほか、復興・開発支援を行う団体です。ユナイテッドアローズは、これまで東日本大震災や西日本豪雨などの際に、PWJを通して商品寄付を行いました。当日はPWJの活動紹介や、フェアトレードコーヒーや紅茶等を販売する予定です。

10月19日(土)と20日(日)はぜひ会場に足を運んでいただき、フェスの雰囲気や出店ブースを通じて、ファッションのこれからについて考えてみてはいかがでしょうか。

INFORMATION

SHIBUYA HARAJUKU FASHION FESTIVAL
https://www.shibuharafes.com

PROFILE

松井智則

1977年、岐阜県生まれ。2000年にアッシュ・ペー・フランス株式会社入社。同社アタッシェ・ドゥ・プレス事業部「HIRAO PRESS」で事業部長を務めた後、2006年にアタッシェ・ドゥ・プレス「PR01.」エグゼクティブディレクターに就任。2011年、「SHIBUYA FASHON FESTIVAL」を立ち上げる。2012年には経済産業省「平成24年度クール・ジャパン戦略推進事業」ビジネスプロデューサーに就任。2017年3月、株式会社ワンオー代表取締役に就任。

JP

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