シオタのデニムは普通に見えて普通じゃない。だから選ばれる、愛される|知っておくべきブランド

シオタのデニムは普通に見えて普通じゃない。だから選ばれる、愛される|知っておくべきブランド

いくら直幸


もはや飽和状態といえる群雄割拠のデニム業界にあって、新参にもかかわらず飛ぶ鳥を落とす勢いの<シオタ(CIOTA)>。どこにでもありそうでどこにもない、その明確な違いこそ多くの人々に指名買いされている理由です。

聖地・岡山の名門ファクトリー謹製

有力店で取り扱われ、また多くのファッションメディアもこぞって取り上げるなど、2019年のスタートから一気に頭角を現した<シオタ>。半世紀を超える老舗ソーイング工場の設備とノウハウを受け継ぎ、本拠を構える岡山にて生地の開発から縫製までを行うメーカー、株式会社シオタ(英語表記はスペル違いのSHIOTA)が手掛けるファクトリーブランドです。

総指揮を執るディレクターの荒澤正和氏は、20年間のキャリアをとおして百貨店アパレルや大手セレクトショップ、コレクションブランドなどでデザイナーを務め、カジュアルからドレスまで豊かな経験と知識の持ち主。メンズ&ウィメンズともにラインナップしており、ボトムスを筆頭にアウターからトップス、小物までトータルで展開されています。

なかでも看板アイテムは、ジーンズを核とする充実のデニムウェア。周知のとおり岡山は、日本が世界に誇るデニム産業のメッカ。やはり<シオタ>の自社工場もジーンズやワークウェアを得意としており、国内外の名だたるブランドの製品を請け負ってきた確かな実力と実績が。さらに荒澤氏自身もデニムをはじめヴィンテージ古着に造詣の深いコレクターというだけあり、<シオタ>のクオリティと徹底された作り込みはうるさ型のデニムフリークからも評判を集めています。
とはいえ、ことさら昨今において岡山製のデニムは決して珍しいシロモノではなく、それだけでは特段もてはやすような存在でもありません。デニム専門メーカーはもとより、ラグジュアリーメゾンやデザイナーズ、ミドルプライスから手頃な一本まで、メイド イン 岡山のジーンズは巷に溢れており、同じく岡山発のファクトリーブランドも少なくない。そうした並みいる競合がひしめくなかでも<シオタ>が選ばれているのには、いくつかの理由があるのです。

職人集団による品質重視の一貫体制

ひとつは、優れた生産背景にあります。先にも触れたとおり、ブランドの母体は生地の開発から縫製までを担うメーカーです。この強みを存分に活かし、原料の選別からファブリックのデザイン&製造、プロダクトのデザインやパターン、縫製仕様の考案と実際の縫製作業、そして仕上げまで、洋服作りのすべてのプロセスを自社で一貫しています。聖地・岡山といえども、ここまでの体制を有するメーカーはほぼありません。そこに、ひとつひとつの工程で量より質を追求する社風も重なって、いっそうのハイクオリティを実現しているのです。

また自社一貫生産によって中間コストをカットすることで、その品質に対して抑えられた価格を可能にしています。カットソーなど一部のアイテムは異なる設備・技術を要するため、各分野に特化した工場の協力を得ていますが、そうした “ 餅は餅屋 ” に任せる潔さも品質重視の表れ。ファクトリーブランドだからこそのプライドをかけ、とことんクオリティにこだわっています。

ブランドの代名詞、スビンコットン

そして一番の特長はマテリアルです。デニムを中心とするコットン生地は、いずれも独自で開発したオリジナル。しかもそのコットンには、素晴らしいクオリティと圧倒的な希少性で知られる最高級の手摘み超長綿、スビンコットンが採用されています。スビンコットンは非常に長く細い繊維をもち、丁寧に紡績することで毛羽が少なく、カシミヤのように滑らかで、シルキーな光沢を帯びた糸を精製できるのです。

これを生地の裏面となるヨコ糸に使っているため、重厚感のある趣に富んだデニムであってもゴワゴワとせず、柔らかな優しい肌触りを味わえるのです。そしてスペシャルな素材を最大限に引き立てるべく、デザインは極めてシンプルでベーシック。しかし、単に穿き心地のよいスタンダードなデニムなら世の中にいくらでもある。それらと<シオタ>が一線を画すのは、古きよきヴィンテージを薫らせるルックス、ほんのりと漂う無骨なムードです。見た目は普遍的でオーセンティック、身にまとうとコンフォータブル。“ オシャレはガマン ” なんて格言も今は昔、無理せず快適に本格デニムを楽しめます。

もちろん、古着のエッセンスをふんだんに注ぎながらも、そのままを再現した焼き直しではありません。現代の空気感や気分にフィットする洗練とアレンジも加えられており、クラシックとコンテンポラリーの絶妙なバランスによってタイムレスな魅力をカタチにしています。その結果、様々なスタイルやアイテムにマッチする高い汎用性も叶えられている。さりげなくも装いをクラスアップしてくれる上質を見極め、自然体でずっと愛せる逸品を求める大人たち、トレンドを追うだけのファッションから卒業した洋服好きに支持されているのも納得です。いま本当に欲しいジーンズは、こんな一本ではないでしょうか?
ファッションライター いくら直幸

ファッションライター いくら直幸

人気アパレルメーカーのPRを経て、1990~2000年代に絶大な影響力を誇ったストリートファッション誌『Boon』の編集者に。現在は『Begin』『OCEANS』をはじめとするメンズ雑誌とウェブマガジンに寄稿するほか、有名ブランドや大手セレクトショップの広告&オウンドメディアなどで活動。また、日本テレビの情報バラエティ番組『ヒルナンデス!』のコーディネート対決コーナーでは審査員も務める。

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