ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

東京から金沢へ。トップセールスがスタッフ育成に懸ける想い。

ヒト

2022.12.28

東京から金沢へ。トップセールスがスタッフ育成に懸ける想い。

都内店舗での勤務を経て、〈ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(以下BY)〉金沢店の販売員となった佐野 俊哉さん。昨期の活動が評価され、販売のスペシャリストのみに授与される称号「セールスマスター」に認定されました。今期からは、部内の取り組みでもあるセールスマスター育成プロジェクトにも参加。トップセールスであり続ける秘訣、そしてスタッフ育成への意気込みを伺いました。

Photo:Go Tanabe
Text:Kenta Tatsumi

憧れのショップに立つために、異業種から転身。

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―佐野さんが入社されたきっかけを聞かせていただけますか?

2013年に中途採用で〈ユナイテッドアローズ〉に入社しました。以前はまったくの異業種で、航空ビジネスの専門学校を出て羽田空港で航空貨物を扱う仕事をしていました。機内に積まれる荷物をチェックして、コックピットに行って “こんな荷物が乗っています”と伝えたり、空港内をカートに乗って走り回っていました。その仕事を6年ほど続けたのですが、直接お客さまと会える仕事ではなかったので、少し物足りなさも感じはじめていて、“もっと対面でお客さまと接する仕事がしたい”と思い、販売員の道に進むことを決めました。

―アパレルのスタッフとしては珍しい経歴ですよね?

そうですね(笑)。元々洋服は好きで、特に〈BY〉が一番好きだったので、転職するなら〈BY〉に、と決めていました。ただ、タイミング的にその頃採用の募集をしていなかったので、一旦別のアパレル会社に入社して経験を積み、募集がかかったタイミングで面接を受け、採用していただきました。自分の好きなブランドのお店に立てることが決まったときは、とても嬉しかったですね。それが29歳のときでした。

常に心掛けているのは、「感動提供・感動接客」。

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―現在、金沢店で勤務されていますが、出身はどちらですか?

東京出身です。入社後に新宿メンズストアに配属され、お台場店を経て、2015年の金沢店移転オープンと同時に石川県に引っ越してきました。それまでは、東京から離れたことがなかったので、知らない土地に住むことに多少の不安はありましたが、環境を変えた方が商品担当としてより多くの経験を積むことができるのではないかと感じ、希望を出しました。結果、いまはとてもやりがいを感じていますし、ここに来て良かったなと感じています。

―そして今期からトップセールスの称号でもある「セールスマスター」に認定されました。佐野さんが接客の上で日頃大切にしていることは何ですか?

「セールスマスター」の称号をいただけたことはとても光栄なことです。ただ、これまでと変わらず、まずは〈BY〉のスタッフとして毎日いらっしゃるお客さまになにかご提案できるように「感動提供」、「感動接客」という想いで店頭接客を一番大切にしています。

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人の気持ちだったり、心が動くことが感動であり、お客さまから「ありがとう」と言われることはそこまで多くはないですが、こちらが心を開いて丁寧に接することで、お客さまが自分の気持ちを伝えてくれたときはすごく嬉しくなりますね。自分でも見た目は話しかけづらい方かな?と思っているのですが(笑)、実は熱い部分を持っていて、お客さまのことを考えている時間は多いです。

―「セールスマスター」という立場になり、変わった部分はありますか?

社内の研修などで同じ立場の方と話す機会が増えたことは自分にとって、とてもありがたいことです。色々な方と話す中で自分にはない視点を聞かせていただいたり、学ぶことは多いです。そこで学んだことを自分の中に落とし込み、その引き出しから、お客さまにどのように提供していくかを日々考えて接客をするようにしています。

若手教育のコツは「タイミング」。

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―スタッフ教育を統括する「エデュケートリーダー」としても活躍されています。スタッフ育成に当たり、大切にされているポイントを教えてください。

お客さま目線で考えることを大切にしていること、自分が持っている知識やノウハウを他のスタッフにも共有しています。常にスタッフの行動、言動に目を配り、それはどうなの? と感じることがあれば、なるべくその場で注意することを心掛けています。タイミングはものすごく大事で、わたしが一番気を遣っているポイントです。若手のスタッフが学ぼうとする姿勢を見せてくれたときには、自分なりの伝え方でなにかを提示し、良い方向に導くことができたらと思っています。

先輩から教えていただいた「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉が好きで、鳥のひなが卵の中から出ようと鳴く声と同じタイミングで親鳥が外から突くと産まれるという意味ですが、これは教育にも同じことが言えると思います。一方的ではなく、スタッフの「教えてもらいたい」タイミングをしっかり見計らうことで、わたしの言葉もしっかりと伝わるのではないかと思っています。
―スタッフ間の雰囲気が、店舗全体のいい雰囲気に繋がっている気がしますね。

そうですね。いまは、とてもいいチームとして動けているなと感じています。接客はお客さま目線で考えるということが一番大事です。これはスタッフの指導や、周りの方との接し方でも同じで、「相手はどう思っているのか」、「こうしたほうが伝わりやすいのではないか」と考えることが、良いコミュニケーションの秘訣だと考えています。

接客は常に新鮮な気持ちでいると楽しいものです。常に「初めまして」のお客さまと、そのときの時間や、気候や店内のムードを感じながら、自分で楽しむようにしています。それがスタッフやお客さまにも伝わればいいなと思っています。

一人で過ごす時間が、アイデアを生み出す。

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―では、プライベートについてもお聞きしたいのですが、お休みの日はどんなことをされていますか?

普段は人と接することが多いので、オフの日は一人で過ごすことが多いですね。晴れた日には、金沢城の西側を流れる犀川(さいがわ)をよくウォーキングしています。ゆったりとした時間が流れて、気づけば2時間くらいは歩くこともしばしばあります。歩きながら考え事をしていると良いアイデアが浮かび、そうした時間がとても心地良いです。

あとは、プロレス観戦ですね。実際に試合を見に行ったりもします。相手の技を正面から受け止めて、最後に自分のいろいろな引き出しの中から、「これだ!」という技で決める。仕事にも通じるところがあるなと思っています。

―金沢でおすすめのスポットがあれば教えてください。

国の特別名勝にも指定されている兼六園の風景はやはり見事ですね。四季を通していろんな表情が楽しめるので、いつ何度行っても楽しめます。若い頃はいまいちピンとこなかった景色かもしれませんが、だんだん大人になるにつれて、庭園の意味を知りたくなったり。とても落ち着く場所です。わたし自身も建築が好きなので、妹島 和世さんが設計した金沢21世紀美術館や、かほく市にある安藤 忠雄さん設計の西田幾多郎記念哲学館にもたまに足を運びます。昔ながらの街並みが残るひがし茶屋街なども、金沢らしくておすすめしたいスポットですね。

自分の成長も、客観視して楽しむ。

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―佐野さんにとって仕事に欠かせない持ち物を教えてください。

ショップスタッフとしての必需品であるメジャーは、入社時に配布された〈LEONIS〉もので、9年間壊れずにずっと使っています。単純に使いやすくて丈夫なので、愛着も湧いていますし、とても大切にしています。

また、ボールペンは高級なものがあまり好きではなくて、〈BIC〉のものを長い間使っています。描きやすくてノンストレスなのでこれ一本です。いつもポケットに入れています。

名刺入れは、プレゼントでいただいた〈MARNI〉のものです。遊び心ある色味が気に入っています。名札は、入社して手渡されたときには感動しました。好きなブランドのロゴに自分の名前が入っているというのは感慨深いものがあります。

―最後に佐野さんの今後の目標を聞かせてください。

先のことはあまり考えてないのですが…ずっと販売員としてお店に立っているかもしれないし、すごく尊敬する先輩が人事で教育担当をされているので、そういう道もあるかもしれないなと思っています。自分の力が会社にどう貢献できるかを試し続けたいと思っています。自分はアピールが苦手なほうですが、そういう人間がどうやって更なる高みに挑戦するかを、若手の育成と同じように自分自身を客観的に眺めて楽しんでいきたいですね。

PROFILE

佐野 俊哉

佐野 俊哉

2013年入社〈BY〉金沢店勤務。新宿メンズストア お台場店を経て、2015年に現店舗へオープニングスタッフとして配属される。今期「セールスマスター」の称号を認定され、「エデュケートリーダー」として、スタッフ育成にも力を注ぐ。

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