ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2016.03.31 THU.

福岡のセールスマスターが語る。笑顔をひきだす接客とは?

ユナイテッドアローズが唱える「ヒト(高度に完成された接客•サービス)」を体現するショップスタッフ。九州におけるファッションの流行発信地、福岡のショップに、お客様から絶大な信頼を寄せられているという名物販売員がいる。ユナイテッドアローズの中でもトップの実力者にしか与えられないという、「セールスマスター」の称号を持つ山下大輔さんに、その接客やコミュニケーションについて話を伺った。

Photo:Go Tanabe
Text:Masaki Hirano
Special Thanks:Masakazu Kubo / Gamlangdii

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お客様に向かって声を当てるイメージで挨拶をすることが大切。

ーまずは山下さんの経歴や仕事内容などを教えてください。

山下:入社13年目の35歳で、ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店に在籍しています。会社が定めている「セールスマスター」という資格も持っているので、他のお店に巡回に行ったり、後輩の指導などもしています。

ーそのセールスマスターというのはどんな資格ですか?

山下:販売実績が優れていたり、立ち居振る舞いやファッションを通じて他のスタッフをリードしていたり多くのお客様に支持されているなど、優れた販売のスペシャリストに授与される称号です。

ー日頃お客様と接する際に心がけていることはありますか?

山下:できるだけ自分から声をかけるということと、お客様が声をかけやすい状況を常に作るというふたつを心がけています。

ー声をかけやすい状況というのは具体的にいうとどういうことでしょうか?

山下:お客様の顔を見ることですね。例えば、売り場で作業をしていたり、接客をしているときでも、それを見た別のお客様が、この人の手が空いたら声をかけようかな、と思っていただけるように目線を向けています。いま別のことをしているけど、あなたのことも見ていますよという意思を伝えるような感じですね。

ーなるほど。それはけっこう難しそうですね。

山下:それともうひとつ気をつけているのが、僕はお客様がいないところに向かって、「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」の挨拶は言わないようにしてます。人の出入りが激しくなってくると、空間に向かって声を出してしまうことがありがちなんです。でもそれはよくない。このお客様に言うぞ! という意識でその方に向かって声を当てるイメージで挨拶をする。そうすると振り返ってもらえることが多いんですね。そういうコミュニケーションを大切にしています。

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とにかく笑顔を引き出すこと。自分が笑われてもいいから笑わせたい。

ー山下さん宛に来店されるお客様に対してはどんな接客をされていますか?

山下:基本的には同じような接し方ですが、とにかく笑わせたいという気持ちがあります。自分が笑われるのでもいいから、笑わせたいと思っています(笑)。

ーそこまで“笑い”にこだわる理由はなんですか?

山下:以前に社内スタッフ向けに配られていたマニュアル本の中に「お客様の喜びが私たちの喜びです」という一節があって、僕はそれにすごく共感できるんです。販売員は喜ばせ屋であり、エンターテイナーであるべきだと僕は思っています。お客様は服を買うことで、自分のスタイルや生活を充実させる。僕らはそれをお手伝いする役目ですね。服を提案することが目的ではあるんですが、その先にある喜びだったり笑顔が大切だと思うんです。だから僕は自分の顧客様には笑っていただきたいと思いますし、笑顔になれる接客を常々心がけています。

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この日も、山下さんの顧客でもあるお客様とランチを。服の話からお互いの近況などを報告しあう。ベストがお揃いになってしまったのは偶然のような必然か?

ー山下さんの顧客はどんな方が多いですか?

山下:自分よりも年上の方が多くて、皆さんとても服好きです。あるお客様は、ご来店される前にいつもお電話をくださるんですが、長いときは1時間ほど話しをしながらお買い物をされて、そのあとにランチに行って、また一緒にお店に戻ってきて商品を取って帰られる。そんなパターンもありますね。その方はファッション誌をすみずみまで読まれている方で、とにかくおしゃれなんです。僕としては持っているであろうワードローブを想像しながら、たまには新しい提案をさせていただいたり、ご希望のアイテムを他店から取り寄せたり、アドバイザーというと大げさかもしれませんが、そんなやり方で接客させていただいています。逆にお買い上げいただいた商品が自分も欲しくなって、あとから購入してしまったということもありますよ(笑)。

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お客様がお店に入った瞬間からコミュニケーションは始まっている。

ー少しお話が変わりますが、仕事をする上で気をつけていることはありますか?

山下:オンとオフというわけではないんですが、ひとりの時間を大切にしています。本を読む、音楽を聴く、サーフィンをすることが好きで、家の中はこれに関係するものしかないくらい。いずれも自分ひとりになれるというか、例えばサーフィンなら、海の中でひとり波を見ている時間はすごく大切ですね。お店にいるときは、ずっと人に囲まれて仕事をしてますよね。そうするとすぐに他人に影響されてしまって、自分の軸がずれていくような気がするんです。自分ひとりで何かに集中していたり、ぼーっとする時間が、メリハリを付ける意味でも重要だなと感じています。

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ー山下さんが考える、良い接客や良いコミュニケーションとはどんなものだと思いますか?

山下:そうですね。心地良い空気感や雰囲気をつくるイメージでしょうか。そういうのって人によって違うと思うんですが、初対面のお客様でも心を開いてもらえるような、思わず笑顔が出ちゃうような、そんな接客が良いコミュニケーションだと思います。例えばですが、いつも土日に来店されるお客様が、ある日は平日にいらっしゃったとします。そんなときに「今日はお休みなんですか?」と声をかけると向こうも「え?」という気持ちになりますよね。その驚きを意図的につくりたいと思っているんです。

ーなるほど。そんなふうに声をかけられたらちょっと嬉しいですね。

山下:ヒトとしてのマナーや、UA社の一員としての所作、立ち居振る舞いは持ち合わせた上で、他の販売員からは感じられないような、良い意味での違和感をつくりたいという気持ちは常に持っていますね。接客というと、自分がお声がけをしてから、声をかけられてからというイメージがありますが、僕はそうは思わない。お客様がお店に入ってこられた瞬間からコミュニケーションはスタートしているし、こちらから接客することもできる。お客様に楽しくお買い物をしていただいて、笑顔になっていただくためには、このくらいの気持ちでやっていかなければならないと思いますね。

PROFILE

山下大輔

1980年生まれ。2003年にユナイテッドアローズ 福岡店に入社。ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ福岡店のオープニングスタッフとして勤務した後、ユナイテッドアローズ 横浜店勤務を経て2013年よりビューティ&ユース ユナイテッドアローズ福岡店に勤務。

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