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2023.01.24
「MOTHER Bracelet」でヘルスウェルネスをサポート。新時代の持続可能な暮らし。
美しく健康であり続けるために身に付けるスマートブレスレット「MOTHER Bracelet」。暮らしに馴染むように軽くて小さく、歩数や心拍数、消費カロリーなどのアクティビティを24時間計測し続けることができます。一番の特徴は、身につける人の体温によって発電し、充電不要という画期的なシステム。今回、〈UNITED ARROWS〉とコラボレーションし、3つの新色を発表しました。「MOTHER Bracelet」の開発責任者である植草 義雄さんに、誕生秘話やコラボレーションの経緯について、お話を伺いました。
Photo:Takeshi Wakabayashi
Text:Riho Abe
健康管理において、データベースを持つことの大切さ。
弊社は、首都圏を中心にリラクゼーションスタジオ「Re.Ra.Ku」を中心に全国に300店舗以上展開しています。病気の治療をするのではなく、“予防”でお客さまの健康づくりをサポートすることをコンセプトに掲げています。代表の江口が、IT業界出身ということもあり、これからの健康管理はデータベースを持つことがとても重要という考えのもと、2015年からはヘルステックビジネスへと参入。そのときに、ヘルスケアアプリ「Lav(ラブ)」の開発を行いました。
—「Lav」ではどんなことができるのですか?
オンライン上でお客さまの食事・運動・睡眠のサポートをし、体質改善プログラムを実施するものです。アドバイスする上で、お客さまの生活習慣の情報が重要な指標だったので、当時は他社さまのウェアラブルデバイスを採用していました。睡眠時間や1日の歩数がわかるようになったものの、充電時や入浴時にデバイスを外した解放感から再度身につけることが億劫になってしまったり付け忘れたり…。こうして約半数の方がデバイスの継続利用を挫折してしまいました。着脱のストレスから解放されないと、生活習慣をずっと見守ることは難しい。それなら、充電不要で動き続けるデバイスを作りたい、それが「MOTHER Bracelet」のスタートでした。
立ち上がりは4年前の2018年。当時、社内で新規事業の案件をよく担当していたり、英語が得意で海外とやりとりができることもあり、わたしが担当させてもらうことになりました。代表の江口が、「充電不要のデバイスを作りたい」と各方面に話していたところ、温度差を活用して発電できるテクノロジーがあると、アメリカ・カルフォルニア州にあるMatrix社を紹介いただいたんです。さっそく現地に会いに行き、弊社の想いを伝えたら意気投合し開発がスタートしたのですが、2020年からのコロナ禍で海外渡航が難しくなってしまいました。製品デザインの細かい修正など、直接会って話せばすぐに伝わることも、商品を何度も行き来させなければならず、とても苦労しました。
温度差と太陽光のハイブリッド発電で、充電不要の「MOTHER Bracelet」誕生。




手首に装着することで、歩数、睡眠量、消費カロリー、心拍数、体表温の5項目を測定・記録することができます。身につける人の体温や太陽光で発電するので、充電不要で24時間活動量を記録し続けることができることが最大の特徴です。生活防水なので、プールやお風呂でも、もちろん水を使う家事も付けたままでも大丈夫です。スマートフォンのアプリとデバイスを同期することで、アプリ内で数値の確認、睡眠の質や健康状態なども詳しく教えてくれます。
―「温度差発電技術」とは、どんなものなのでしょうか?
体温と外気温の温度差を利用して発電する仕組みです。これは、200年以上前からあるゼーベック効果という、熱エネルギーが電気エネルギーに変換されるテクノロジーを利用しています。また、「MOTHER Bracelet」は温度差発電に加えて、太陽光からの発電も同時に行っています。冬は日照時間が短いですが、体温と外気温との差が激しいので、温度差発電がメイン。反対に夏は、温度差は少なくなりますが、日差しが強いので太陽光の発電がメインとなり、季節問わず安定的にエネルギーを供給し続けることが可能となりました。
ネーミングの“ブレスレット”には、アクセサリーのように24時間おしゃれの一部として楽しく身につけてほしい、という願いが込められています。そのイメージに近づけるためにも、アパレルブランドとコラボを行いたいなと考えていました。そこで、〈UNITED ARROWS〉の企業理念である「真心と美意識をこめてお客さまの明日を創り、生活文化のスタンダートを創造し続ける」に共感したことが大きな理由です。ファッションの領域で最高峰のブランドである、〈UNITED ARROWS〉と協働できることはなにより光栄なことです。
―カラーバリエーションは肌なじみが良く、上品で素敵ですね。
カラーはオレンジ、マットブラック、ベージュの3色展開。オレンジは〈UNITED ARROWS〉のブランドカラー。マットブラックは、男性向けに上質感を表現しました。ベージュは、既存のホワイトよりもやさしい色合いで、よりファッショナブルに使っていただけると思います。〈UNITED ARROWS〉のお客さまは、流行への感度も高く、上質なセンスをお持ちなので、男女問わず幅広い層に使っていただきたいですね。家族や大切な方へのプレゼントにもおすすめです。
サステナブルなデバイスを、幅広い業界、そして世界へ。
アメリカでの展示会で初めて「MOTHER Bracelet」をお披露目した際、世界各国からたくさんの問い合わせをいただきました。特にヨーロッパの市場では、サステナブルであることはもはや当たり前のこと。人の体温で動かす充電不要のデバイス、ということで世界から注目を集めていることを認識しました。作り手側も極力環境負荷を抑えたかたちで広げていき、本質的にエコな状態を目指したいと思っています。
貯めたエナジーをアプリ上で気になる分野で寄付できる。
エナジーとは、1日の歩数など設定されている目標に対して、それが達成できると貯まるポイントのこと。貯めたエナジーを、提携しているショップでコーヒーやドーナツなどのご褒美に変えることも可能ですが、発展途上国や教育などの興味がある分野へ寄付をすることもできます。自分が健康になることで得たエナジーで、誰かを幸せにする、誰かを健康にするという、良い循環を生み出していきたくて。「MOTHER Bracelet」を通じて、支援の輪が広がればと思っています。〈UNITED ARROWS〉とも深い関わりがある、森林保全団体「一般社団法人more trees」さまとも多様性のある森づくりのお手伝いができないかと、寄付先のひとつとして選んでいただけるようになっています。
—今後の展望を教えてください。
介護や医療機関、高齢者や工事現場などでのドライバーの見守り、犬や猫などペットの見守り、牛豚などの家畜業…。大切な人や動物の健康や安全を守るという点で、多くの業界からお声掛けをいただいているところです。「MOTHER Bracelet」が単なる充電不要の活動量計ではなく、ヘルスケアのリーディングカンパニーとして、世界中の人々の健康を繋ぎ、一人でも多くの方が健やかに暮らせる社会を実現していけたらと思っています。さらにその先にある社会に還元していく。応援したいと思っていた活動やプロジェクトを応援できるプラットフォームとしても成長していくことを願っています。
PROFILE

植草 義雄
MOTHER 開発責任者。「予防から医療まで一貫して提供するヘルスケア総合商社を目指す」という事業ビジョンに共感し、2014年に株式会社メディロム(当時:リラク)に新卒で入社。リラクゼーションスタジオ Re.Ra.Ku にて店長を務めた後、新規発足したCEOアシスタント室の第一期メンバーとして異動、現在は室長を務める。その間、新卒・中途採用グループ統括長、またリラクゼーションを舞台にした映画『癒しのこころみ』のプロデューサーを経て、2018年より「MOTHER Bracelet」の開発責任者を務める。