モノ
2016.05.20 FRI.
united LOVE project 2016
バイヤー3人が語る プロジェクトへの想い。
ユナイテッドアローズ、ウィメンズのチャリティプロジェクト「united LOVE project2016」。本プロジェクトは、2010年からスタートし、お客さまやデザイナーのご協力を得て、今年で7年目を迎えることができました。2月に始まった第1弾の“チノ”に引き続き、第2弾として5月6日からは人気の9ブランドとコラボレートしたTシャツの販売が開始。今回、このプロジェクトに携わるバイヤー中島英恵さん、吹上肖さん、佐川洋子さんの3人を迎え、発足したきっかけやコラボTシャツの魅力について語ってもらいました。
Photo:Yuhki Yamamoto
Text:Noriko Ohba
プロジェクトの始まりは、仕事を離れた雑談から。
—「united LOVE project」は、2010年に始まり、今年で7年目を迎えます。発足のきっかけは、どんなことだったのでしょうか。
中島:もともとは、デザイナーさんたちとの雑談から広がっていった感じです。デザイナーさんとは、おつきあいが深くなると、お互いに商談以外の話をすることも増えますが、そのなかで、子どもが生まれてこんなことが変わったとか、飼っているペットのお話をざっくばらんにしていたんですね。そのうちに、「将来は、何か子どもたちやペットのために貢献できる活動ができたら」などの声も聞かせていただいて、素敵なことなので、何か一緒に取り組めたら・・と共感したのがきっかけです。
これまでに築いたデザイナーさんたちとのネットワークを使って何か新しい社会貢献の提案ができるのではないか、とプロジェクト第1弾が始まったんです。当初はデザイナーさんにそれぞれの想いを活かせる支援先を選んでいただいたりもしていました。
―中島さんと吹上さんは、プロジェクト第1弾からメンバーだそうですね。7年間継続していることで、今感じることはありますか?
中島:毎年、プロジェクトがスタートするときには、デザイナーさんに賛同いただけるかお声がけをするところから始まります。新たに参加いただくデザイナーさんにお話をもっていくと、「来てくれてうれしい、待ってました。」と言っていただけることもあって、それはすごく有難いですね。プロジェクトのことを知っていてくれたんだと、長く続けてきてよかったと実感します。
吹上:お客さまのなかにも、賛同していただき毎年買ってくださる方や、最近ではSNSで「買いました」などの投稿をしてくれる方もいて、すごく励みになります。
佐川:私は、2015年から参加することになり今年で2年目ですが、このプロジェクトは、企画段階からデザイナーさんと一緒に練っていくので、普段のバイヤーの仕事とはまた違った視点でのモノづくりに参加できて、それも新鮮に感じています。デザイナーさんとしても、コレクション以外での製作は初めてという方やウィメンズに特化したものづくりをされていない方もいらっしゃいますが、支持されるものをつくりたいと、熱い気持ちでモノづくりに取り組んでくださる姿を間近で見て、刺激をもらっています。
中島:本当にそうですよね。最終デザインにいたるまで、デザイナーさんとは何度もやりとりを重ねるのですが、今シーズンのコレクションと連動させた1枚に仕上がったもの、逆にコレクションにとらわれないスペシャルな1枚を提案してもらったものなどさまざまですが、進行中は、このプロジェクトのためにアイディアをいただいているんだ、ありがたいなって何度も思います。
―毎年、春夏シーズンに開催されていますね。
吹上:はい。スタート当初は取り入れやすいアイテムが良いとTシャツをメインにしていたため、春夏に行っていましたが、それからシャツやチノから発想を得たアイテムにも広がってきています。
中島:今回も、大きく「Tシャツ」というテーマですが、カットソーも含めた“盛夏のトップス”でつくろうと企画がスタートしました。これからのシーズンに、デイリーに活躍できるアイテムで、たくさん愛用していただきプロジェクトに参加したことをより実感していただけたらと。
デザイナーのこだわりが詰まったコラボTシャツ。
—今回は、9ブランド9商品のトップスがそろいました。特徴や魅力について、教えてください。
中島:はい。では私から。…でいいですか?(笑)。
吹上・佐川:どうぞ(笑)
Kaon color:White/Olive/Black
中島:普段それぞれがバイイングで携わっているブランドが、プロジェクト内での担当になっています。まずは、“Kaon”から紹介しますね。これはすべての商品の特徴でもあるのですが、趣旨としてはチャリティですが、やはり何よりもファッションを楽しんでもらいたいというのが根底にありますので、今シーズンらしさ、トレンドを押さえた上質感というのは共通して感じられると思います。
“Kaon”のカットソーも、シーズンらしい70’sムードを感じさせるシルエットや、落ち感やボリューム感に出ているほどよいフェミニンさ、とろみのあるジャージー素材で着心地も抜群です。色は白、オリーブ、黒と3色で展開しています。デザイナーさんもこのプロジェクトへの理解が深くて、2010年からずっと賛同し、協力してくれています。
—カジュアルにもきれいめにも使えるのもいいですね。
ELIN color:White/Dark Brown/Black
中島:続いてはこちら、“ELIN”のTシャツ。今シーズンからプロジェクトに参加していただいたのですが、今注目をされているデザイナーさんで、この機会を通じて、多くのお客様にご紹介したいブランドです。
一見して、シンプルな中に女性らしさを感じますよね。そのさじ加減がとても得意なデザイナーさんなので、このTシャツも、ほどよく開いたネックやちょうどいい丈のフレンチスリーブなど、ブランドの個性が光っています。裾には、異素材のパイピングをつけているので、少しハリがあって、軽やかに揺れるようなシルエットもいい。シンプルにスタイリッシュに、だけど女性らしさも演出できる。そんな1枚です。
Laula color:White/DarkBrown
中島:こちらのボーダーTシャツは“Laula”のもの。こちらも初回から協力をいただいているブランドです。今回は、夏らしいボーダーを使い、デザイン性の高い1枚に仕上がりました。ラインの細いボーダーをサイドに配置することでボディライン全体がすっきり見えるシルエット、二の腕が細く見える絶妙な袖の長さ、首がすっきり見えるネックラインなど、うれしい視覚効果もあって、1枚で勝負できる逸品です。
SACRA color:Navy/Black
佐川:次は私が担当した、“SACRA”のボーダーTシャツを紹介します。同じボーダーでもまた感じが違いますよね。このブランドは、男性のデザイナーさんなのですが、甘さとシャープさのバランスが見事。脇のリボンなどレディライクな要素はありつつも、ゆったりとしたシルエットや太いピッチのボーダー、厚手のコットン生地でリラックス感を出したりと、細やかなこだわりを感じます。どなたに着ていただいてもしっくり似合うような抜け感が欲しいとオーダーしたところ、絶妙なパターンで仕上げていただきました。
—夏に欲しくなるボーダー柄、ふたつの雰囲気が全然違うのもいいですね。
TOGA PULLA color:White/Navy
中島:そうですよね。さて次は“TOGA PULLA”の1枚。このブランドも多く参加していただいています。ブランドの魅力でもある、“少しエッジの効いたモード感”というエッセンスが、このTシャツからも感じられます。アクセントとして効いているフェイクレザーを使ったレースアップやコンチョは、今季のコレクションのテーマである「マリン」や「モロッカンアフリカン」スタイルとも連動しているんですよ。
—すごいですね…みなさんの怒濤の語りに圧倒されています。
中島:あ、すみません。一気にしゃべりすぎちゃいました?(笑)
—いえ、想いがあふれていて素敵です。
メンズブランドや小物ブランドも賛同
当プロジェクトだけで手に入るスペシャルな1枚。
佐川:コントラストが美しいこちらのTシャツは“7×7”のもの。藍と光沢感のあるホワイトのコントラストの美しさが特徴です。ブランドの想いとして「その人が着ることで1点1点違うものになる」という考えがあるのですが、このTシャツはまさにそれを体現した商品なんです。というのも、この藍染め、1点1点手作業で染めているので、同じものがひとつとしてないんですよ。天然の素材のみを使用した染色技法“灰汁発酵建て”を受け継ぐ “リトマス”とコラボして完成した、とっておきの1枚です。
7×7 color:Cobalt
—1点1点違うというのは、いいですね。
佐川:はい。インディゴなので、年月とともに色が変わっていく、その経年変化も楽しんでもらえたら。“7×7”は、もともとメンズのコレクションからスタートしたブランドなので、自分たちが普段つくっているものと、ユナイテッドアローズのウィメンズのイメージと、どうやったら調和して違和感なくプロジェクトに参加できるのか、すごく悩まれたようです。多くの時間をかけて、大人の女性が楽しめるジェンダレスな要素や、素材のよさを生かした上品さが漂うこの1枚にたどり着きました。
—続いてのこちらは、きれいな立体感がありますね。
AKIRA NAKA color:Navy
中島:こちらは今注目されているデザイナーの1人“AKIRA NAKA”のTシャツです。今回初めて参加していただきました。表面のフリンジは、素材の表情豊かな表情を感じてもらえるよう、カットジャカードを手作業でカットしているんですよ。黒地のTシャツのシンプルなフォルムと、ネイビーのグラフィカルなテキスタイルの組み合わせが、大人っぽく、洗練された雰囲気を感じます。ボトムスにインして、すっきりとしたコーディネートに仕上げるのもいいですね。
—手作業というのは、すごいですね。
そうなんですよ。機械でつくろうか、という話も出たのですが、いや、やっぱり手作業の風合いが素敵だよね、ということになりまして、過密スケジュールのなか、頑張ってくださいました。
吹上:では、最後のふたつをご紹介します。私は普段小物のバイイングをしているので、このプロジェクトでも“ATHENA NEW YORK”と“LUDLOW”を担当しています。両ブランドともプロジェクトスタート時からお願いしているブランドです。
帽子ブランドの“ATHENA NEW YORK”は、毎シーズン自然からインスピレーションを受けたモチーフを使って、コレクションを発表しているのですが、今回のTシャツには、コレクションと同じお花のモチーフが使われています。Tシャツのポケットのなかから、花がふわりと出てきているようなデザインや前後差のある裾など、遊び心あるデザインがポイントです。落ち感のある滑らかな生地でアクティブに動きたい日にも活躍します。
ATHENA NEW YORK color:Medium Gray/Navy
そしてラストは、 “LUDLOW”が手がけたノースリーブTシャツです。「大人になってもどこか心躍るようなものを身につけたい」というコンセプトをまさに体現したような、トップスです。大きめのサイズ感や開きの深い袖口から感じられるスポーティさと、肩に施した小さなリボンのフェミニンさ。その掛け合わせが女心をくすぐります。
LUDLOW color:White/Olive
—素敵なバランス感覚ですね。以上で9商品。みなさんの熱量を感じた1時間でした。
吹上:このプロジェクトはチャリティですが、私はそこが入り口じゃなくてもいいかなと思っているんです。商品を見てこれが欲しい、かわいいな、着てみたい、と思ったときの高揚感や幸せな気持ちはすごく大切ですし、「欲しいものが見つかった」と言っていただけたり、好きなブランドに出会えるきっかけがこのプロジェクトだった、というのでもいい。
中島:商品を手にとったときに「united LOVE project 2016」のタグを見て、はじめてチャリティだったんだと気がついたということでも、どんな形やきっかけでも、知っていただけることが続けていく励みになります。
—今日は、3人の和気あいあいとした雰囲気も感じました。
中島:チームですから(笑)私たちバイヤーチームは、デスクも隣と向かい合わせで揃えば他愛もない話を3人でよくしゃべっています(笑)。今回の進行でも、それぞれの担当の仕事をしながら、「ねね今、どれくらい進んだ?」とかちょっとしたデザインのバランスの確認なども逐一話しながら進めていきました。
今日は、私たちもいろいろなことを振り返り、改めて気持ちが引き締まりました。ありがとうございました。
INFORMATION
1着につき500円が寄付金となる、ユナイテッドアローズ ウィメンズのチャリティプロジェクト。
※第2弾のTシャツ支援先は、社会福祉法人中央共同募金会「赤い羽根『災害ボランティア・NPO活動サポート募金・九州』」となります。寄付金は、復興活動を支援するNPOなどの活動費に充てられるものです。
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PROFILE
中島英恵
1995年入社。ユナイテッドアローズ二子玉川・有楽町店の販売スタッフ・店長を経て、2002年より商品部に異動。アシスタントバイヤーやレーベルディレクターを経験後、チーフバイヤーを務める。
吹上肖
2001年入社。ユナイテッドアローズ渋谷公園通り店・新宿店・丸の内店の販売スタッフを経て、2010年より商品部に異動。UAウィメンズバイヤーとなり、雑貨のバイイングを担当。
佐川洋子
1993年入社。ユナイテッドアローズ渋谷店・原宿店ウィメンズ館などで販売スタッフを経て2007年SOUNDS GOOD(2009年営業終了)バイヤーを経験。2011年にUAウィメンズ商品部へ異動し、ウェアのバイヤーを担当。