
ウツワ
2022.08.10 WED.
お客さまとともに“服の循環”を目指す。
ユナイテッドアローズが考える「サーキュラーエコノミー」。
これまでの作って捨てる「一方向型」経済から、持続可能な「循環型」経済へ。サステナビリティやリサイクル意識の高まりから注目を集める、「サーキュラーエコノミー」というキーワード。ユナイテッドアローズ社(以下、UA社)のリサイクルへの取り組み事例の数々を紹介しながら、わたしたち一人ひとりが地球の未来のために“いまできること”を考えます。
Photo:Yu
Text:Akiko Maeda
家庭から手放される衣類のほとんどが
ゴミとして廃棄されるという現実。
「SDGs」「サステナビリティ」というキーワードをよく耳にするようになって久しいですが、最近では企業が環境負荷を考慮した持続可能なモノづくりを行うことが当たり前になってきました。そして、ここ10年間の消費者サイドの環境意識の高まりは目を見張るものがあります。また、昨今は資源の消費を抑え、循環利用する「サーキュラーエコノミー」という新たな経済モデルへの移行が叫ばれています。これまでの「大量生産、大量消費、大量廃棄」の「一方向型」から、製造した衣類をなるべくゴミにしない「循環(サーキュラー)型」へと新たな転換期を迎えています。
しかし、日本国内の家庭から手放される衣類の量は年間約75万トン、そのうち50万トンがゴミとして出されているというデータ(※環境省調べ)があります。つまり、平均すると大型トラック約130台分の衣類が焼却、埋め立て処分されているのです。また、それらの大量の衣類を処理するために大量のCO2が排出され、地球環境を圧迫しているのもまた事実。
そして、ゴミに出された衣類が再資源化される割合はたった5%ほどだといいます。つまり今後は、今まで以上に服を資源として再活用することが求められていますし、循環型ファッションの推進には衣類を製造・販売する企業と、使用する消費者の双方のアクションが不可欠なのです。
UA社では、環境配慮素材を使用した商品開発や、役目を終えたダウンジャケットを回収し、また新たなダウンジャケットに再生する「グリーンダウンプロジェクト」など、サステナブルな未来に向けてできることをこれまでも行ってきました。今回その取り組みの一環として、着なくなった服を回収してリユース・リサイクルする取り組みをスタート。〈オデット エ オディール〉や〈グリーンレーベル リラクシング〉で過去に反響が大きかった下取りキャンペーンを元に、参加ブランドを拡大し、期間限定で「UA RECYCLE ACTION」として一部の店舗を除いて全国的に開催されます。
「売りっぱなしではなく服を回収し循環させること」がアパレル小売企業としての責任のひとつである、という意識から生まれた一大プロジェクトです。
日本人の“もったいない”の精神を
ポジティブに捉える。
BRING™循環図
服から服をつくるサーキュラーエコノミーを実現する、株式会社JEPLANは、企業と連携して古着を回収し、素材に応じたリサイクル、リユースを行う〈BRING™〉を運営。中でもポリエステル繊維については独自ケミカルリサイクル技術の「BRING Technology™」を用いて、新品同様のポリエステル樹脂に生まれ変わり、その後、新たな衣類にまで再生される。今回、「UA RECYCLE ACTION」で回収された衣類も〈BRING™〉を通じてリサイクル、リユースされる。
「サステナブルな社会」の重要性が叫ばれるずっと前から存在した “もったいない”の精神。モノを大切に扱い、最後まで感謝して使う、その“心”は日本人の中に根付いた意識であると言えます。例えば、兄妹姉妹や親戚間での「おさがり」もサステナブルな考え方の礎。“思い入れのある一着を世代を超えて着る”それは、これからもぜひ引き継いで行きたいポジティブな行動のひとつです。
また、UA社での“もったいない”を減らす取り組みとして、商品を購入した後も製品とお客さまの長期的なお付き合いをサポートする「修理受付サービス」があります。衣類のライフサイクルの長寿化を目指すことも、ファッションと環境への大切なアクションです。ショッピングがてら店舗に持ち込むのはもちろん、オンラインでも手軽に依頼が可能なので、ぜひ活用してみては。
着なくなった服をいつもの店舗へ。
地球の未来のための1アクション。
ここ数年で一般的になったフリマアプリを活用した衣類のリユースも注目すべきアクション。個人から個人へとモノを繋げるビジネスがプラットフォーム化されたことで、より気軽に売り買いが可能になりましたが、その数は手放された服の約20%にも満たないのが現実です。
もしわたしたちが1年間1回も着ていない服をすべてリユースにまわして再流通させるだけでその量は約10倍になるというデータ(※環境省調べ)もあります。“地球の未来のために”と堅苦しく考える必要は決してなく、「自分の中で役目を終えた服を必要としている誰かに引き継ぎたい」「まずは自分ができることからやっていこう」そんなシンプルな想いの積み重ねが持続可能な社会へと繋がっていくのではないでしょうか。
今回、8月18日(木)から31日(水)までの期間中、全国のUNITED ARROWS LTD.HOUSE CARD取扱店舗で、「UA RECYCLE ACTION」を実施。秋物の買い物ついでに“タンスの肥やし”になりかけている洋服を持って店舗へ足を運んでみては?