キャプテンサンシャイン|編集力が光る、古くて新しい上質ヴィンテージ|知っておくべきブランド
いくら直幸
上質を知る大人をはじめ、若い世代にもファンを抱える<キャプテンサンシャイン(KAPTAIN SUNSHINE)>。ヴィンテージをモチーフにするブランドは数あれど、目の肥えた古着フリークからも高く評価され、熱心な洋服好きに選ばれているのには、こんな理由があります。
人気雑誌のエディターから独学で転身
転機は2002年。同僚が社内で立ち上げたブランド、ウェイスト トゥワイスに参画したことからアパレルデザイナーの道を歩み始めます。その後、洋服作りに専念するためブランドを携えて相棒とともに独立。やがて雑誌にも頻繁に紹介されるようになり、自身が取り上げられる機会も増え、若い世代を中心に知名度を高めていきました。それと並行して大手セレクトショップの商品企画を手掛けたり、バイイングにも携わったりとクライアントワークでも実績を積みます。そしてウェイスト トゥワイスでの10年間の活動を経て、'13年に<キャプテンサンシャイン>をスタートさせました。
古いハンティングウェアに着想を得て、2022年に発売→即完売となった「ポーテージジャケット」を、コットンナイロン素材で復刻したBEAUTY&YOUTHの別注品。
ヴィンテージと現代性の絶妙バランス
とはいえ、その佇まいや醸し出す雰囲気を大切にするものの、忠実再現には執着せず、パーソナルな感性と現代の感覚を絶妙なバランスで織り交ぜてブラッシュアップ。また長く販売している定番アイテムも、自らの気分や時流の空気感を吸い込み、程よくトレンド性も汲み取って、素材やディテール、シルエットなどをマイナーチェンジさせているのが特徴です。
素晴らしい生地と、精緻でタフな縫製
そもそも<キャプテンサンシャイン>は、業界では名の知れたマーチャント(生地問屋)であるクリップクロップ社の全面バックアップで誕生した経緯があり、同じく上質なファブリックに定評のあるオーラリーも以前はクリップクロップに属していました。現在は別会社として独り立ちしているものの密接な関係は健在。常日頃から多種多様な素材に触れられる環境にあり、最新情報をイチ早く入手でき、その道のエキスパートと近く深いコミュニケーションを図れることをアドバンテージに素晴らしいファブリックを実現するとともに、ハイクオリティな生地に対する抑えめなプライスを叶えているのです。
高級超長綿のスビンコットンにヘンプ素材を混紡したインディゴ染めの糸を、旧式シャトル織機で織り上げた「ワークシャツ」は、麻特有のプリミティブなネップが持ち味。
上等なのに肩肘張らないワードローブ
超高密度のコットンサテンを使った「テイクイージーカーゴパンツ」。ハイエンドなフィンクス綿がもたらす上品な光沢と肌触り、洗い仕上げによるフェイド感を楽しめる。
そうしたプロセスは、特集のテーマに沿って取材をしたり、最適なスタッフに依頼して撮影をするなど記事の素材を揃えて、一冊を構成する雑誌編集にも通じる作業であり、まさしくエディター出身である児島氏らしいアプローチ。さらに、人々を惹きつけるカタチへとまとめ上げる巧みなスキルと気の利いたセンスも持ち合わせているところに、<キャプテンサンシャイン>が眩しく光り輝く理由があるのです。
ファッションライター いくら直幸
人気アパレルメーカーのPRを経て、1990~2000年代に絶大な影響力を誇ったストリートファッション誌『Boon』の編集者に。現在はメンズ雑誌&ウェブマガジンをはじめ、有名ブランドや大手セレクトショップのオウンドメディアにも寄稿。近年はYouTube番組への出演、テレビ番組のコーディネート対決コーナーで審査員を務めるなど活動の幅を広げている。