ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

人がつくる。人とつくる。「ビューティー&ユース」20年の軌跡とこれから。

ヒト

2026.09.03

人がつくる。人とつくる。「ビューティー&ユース」20年の軌跡とこれから。

時代 / 次代の本質的な「美しさ」と「若々しさ」を纏い、エモーショナルな感覚を提案し続けてきた〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉(以下、BY)が、今年で20周年を迎えました。記念すべき節目に掲げた新たなテーマは「BEAUTY&YOUTH&MORE」。そこにはどんな思いが込められているのでしょう。ブランドの歩みを振り返りながら、現在地、そしてその先の展望について、メンズディレクターの藤橋享平さんとウィメンズディレクターの小沼悠子さんにお話を伺いました。

Photo:Kousuke Matsuki
Text:Eto Katagiri

基本があるからこそ、自由でいられる

ーまず、20周年を迎えた率直な感想をお聞かせください。

藤橋:振り返ってみると、本当にさまざまな思いが込み上げます。ただ一方で、20周年はあくまで通過点。むしろここから先が楽しみだなと思っています。僕は3代目のディレクターですが、ブランドの根底にある精神性は、初代のディレクターから変わることなく受け継がれてきました。そこはこれからも大切にしていきたい部分ですね。

小沼:ブランドの立ち上げから携わってきた身としては、「感謝」の一言に尽きます。時代とともに移り変わるファッションにおいて、ウィメンズ市場は特にスピード感が求められます。そんな中で20年続けてこられたのは、〈BY〉に関わってくださったすべての方のおかげです。また、オリジナル商品で表現できる幅が広がったことにも成長を感じます。素材やデザインを含め、自分たちがつくりたいものを形にできる環境が整ってきました。そうした積み重ねも、20年という時間の大きな財産だと思います。

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ー改めて、お二人にとって〈BY〉とはどんなブランドでしょうか?

藤橋:メンズについて言うなら、〈BY〉のアイデンティティを表すコンセプト「FREEDOM:STANDARD」という言葉が、まさに核心をついていると思います。基本(STANDARD)があるからこそ、自由(FREEDOM)でいられる。ブランドづくりをする上で、いつも大切にしている考え方です。

小沼:アウトプットは異なりますが、その精神性はウィメンズにも共通しています。さらにかみ砕いて言うと「品のいいカジュアル」ですね。私たちディレクターが〈BY〉について語る時、よく「無味無臭」というキーワードが出てきます。「アメカジ」や「フレンチカジュアル」といった特定のジャンルに限定されない立ち位置。そんな「無味無臭」な幅の広さが、〈BY〉ならではの強みだと思っています。
ーこの20年、ブランドの軸がぶれていない理由は何だと思いますか?

藤橋:〈ユナイテッドアローズ〉(以下、UA)という、揺るぎない土台があるからだと思います。ヨーロッパの伝統的なスタイルを重んじてきた〈UA〉が、自分たちらしいカジュアルを表現するために生み出したブランドが〈BY〉。他のセレクトショップとは一線を画し、襟付きの服をカジュアルに着るようなスタイルを打ち出しました。スタイリストさんが以前、〈BY〉を「〈UA〉の弟キャラ」と表現されていたのですが、それがすごくわかりやすいなと。兄貴はきちんとした服を着るけれど、そのお下がりをもらった弟はカジュアルに使う。ベースに兄貴がいるからこそ着崩せるんですよね。「品のいいカジュアル」という〈BY〉のスタイルも、〈UA〉の存在ありきで生まれたもの。それが時代にいい意味でフィットした結果、ここまで発展してこられたのだと思います。

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チーム力を育て、次代の感性を取り入れていく

ーお二人が〈BY〉のディレクターになられて、もうすぐ10年になります。今、ディレクターとして大切にしていることを教えてください。

藤橋:綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、僕にとって一番大切なのは「チーム」なんです。ブランドは、企画、バイヤー、MD、生産、販売、PRなど、さまざまな人の力が集まってつくられるもの。ディレクターはあくまで旗振り役です。指針を示すのは僕の役割ですが、そこに向かう方法はみんなで考えたい。それぞれの意見や強みを生かしながら、一人ひとりが「自分がこのブランドをつくっているんだ」と実感できることが重要だと思っています。

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ーメンズでは、店舗スタッフが自ら商品を企画する「店頭企画」にも取り組まれているそうですね。商品名には企画メンバーのイニシャルが入るなど、スタッフのモチベーション向上にもつながっていると聞きます。

藤橋:店舗スタッフの中には、僕に直接連絡をくれる子もいるんですよ。「もっとファッションやりましょうよ、藤橋さん!」というような意欲のあるスタッフを集めて、ゼロから商品をつくろうと始めたのが「店頭企画」です。もちろん好き勝手につくるわけではなく、商品部全員が関わりながら、店舗スタッフのリアルなエネルギーを商品に反映していきます。そして売り場でも「この人が企画したんだから頑張って売ろう」というムードが生まれ、ブランドとしての連帯感が高まります。
ー小沼さんがディレクターとして大切にされていることは?

小沼:ユーモアを持って取り組むことです。ブランドには真摯に向き合いながらも、現場はできるだけ柔らかく、楽しく回したい。そうした空気感が、商品を通してお客さまにも伝わればいいなと思っています。また、世の中の動きを俯瞰しながら、どんな商品のバリエーションが求められているのかを客観的に捉えることも重要です。設立から20年が経ち、長く支持してくださっているお客さまがいる一方で、次世代に響く提案にも力を入れていかなければいけません。そのため、若いスタッフの意見を商品企画に積極的に取り入れたり、企画チームとバイヤーが連携して新しい顔づくりに取り組んだりと、メンズ同様、チーム力を軸に挑戦を続けています。

変化するトレンドに馴染みながらも、普遍的であること

ー今回、お二人には「これぞ〈BY〉」と思うアイテムをお持ちいただきました。それぞれご説明いただけますか?

画像 過去にはメトロポリタン美術館や雑誌『POPEYE』とのコラボも。「スプレー文字は〈TODAY edition〉を手がける川村貴彦さんのイベントにて、私物に即興で描いていただきました」

藤橋:僕が持ってきたのは「BEAUTY&YOUTH」のロゴTです。そもそも〈BY〉は、ロゴを強く打ち出してきたブランドではなく、特定のアイコンで引っ張っていくようなスタイルでもありません。だからこそ、この静かなロゴTは象徴的なアイテムだと思います。実は「BEAUTY&YOUTH」という言葉や精神性は、昔から社内の共通言語として存在していました。このTシャツも〈BY〉設立前に初代のディレクターがつくったもの。どんなきっかけで生まれたのか聞いたら、「雑誌のタイトルのようなフォントで“BEAUTY&YOUTH”をロゴにしたらカッコイイかなと思って。当時はパソコンとかないから、友だちと手書きでつくったんだよ」と。ロゴTというカジュアルなアイテムながら、フォントに品があり、トラッドな雰囲気が感じられる。この塩梅が〈BY〉らしいなと思います。

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小沼:メンズに比べると、ウィメンズは普遍的なアイテムが少ないのですが、そんな中でもオーセンティックなものを二つ持ってきました。まず一つは、ダブルブレストのジャケット。メイド・イン・ジャパンにこだわり、生地から仕立てにいたるまで高いクオリティを追求しました。ジャケットは毎シーズン多彩なデザインが登場しますが、ベースにあるのはこの一着だと思っています。
そしてもう一つが、私がディレクターになった頃から展開しているスリムストレートのデニム。〈RED CARD〉(現 RED CARD TOKYO)のプロデューサー・本澤裕治さんに監修いただきました。ボタンフライをジッパーに変更するなど細かな仕様はアップデートしていますが、シルエットや加工はほぼ当初のまま。その時々のトレンドに自然に馴染みながら、定番として長く愛され続けているアイテムです。

画像 累計発注数は約2万本。「名品と呼べるデニムです。赤のオールスターに合わせるくらいがちょうどいいバランス」


節目の年だからこそ「らしさ」を大切に

ー20周年を記念したアイテムも展開されるそうですね。見どころを教えてください。
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藤橋:20周年だからこそ、お客さまに特別感のあるアイテムを届けたいと考えました。その一つが〈BARACUTA〉×〈DAIWA PIER39〉for〈BEAUTY&YOUTH〉のリバーシブルブルゾンです。スウィングトップの原型をつくったと言われる〈BARACUTA〉と、フィッシングウェアをタウンユースに落とし込む〈DAIWA PIER39〉。二つのブランドを掛け合わせることで、伝統を感じさせる佇まいに、今の気分に合うシルエットやサイズ感を取り入れました。トラディショナルを現代的に解釈するという〈BY〉らしい視点が、よく表れていると思います。

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そして、もう一つが〈ALDEN〉の990です。〈BY〉メンズでは、スニーカー以上に革靴のスタイルを大切にしてきました。中でも、この990は最も美しい革靴の一つだと思っています。ここ数年は展開していなかったのですが、20周年の節目に、コードバンのプレーントゥという普遍的な名品を改めて提案したいと考え、ロゴ入りをオーダーしました。

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小沼:ウィメンズでは〈MM6 Maison Margiela〉(以下、MM6)と〈INSCRIRE〉に注目していただきたいです。〈MM6〉には、アーカイブのロゴを使ったトップスと、メゾンのアイコン「ジャパニーズ」バッグを特別な素材で制作していただきました。長年のお付き合いを通じて築いた信頼関係があるからこそ、実現できた企画だと思っています。
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〈INSCRIRE〉とは、これまでもたびたび別注はさせていただいているのですが、今回はジャケット、セットアップ、スニーカーを制作し、一つのスタイリングが完成する構成にしました。ウェアのポイントは、「STREET LUXURY」という〈INSCRIRE〉のコンセプトと、「SPORTS」「MILITARY」「SCHOOL」といった〈BY〉ウィメンズが大切にしている要素を組み合わせた点。MA-1やスウェットのセットアップという無骨でストリート感のあるアイテムを、〈INSCRIRE〉らしいモードなバランスに着地させ、〈BY〉のスタイルである「品のいいカジュアル」を表現しました。
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これまでの「BEAUTY」と「YOUTH」に、新しい「MORE」を

―お二人が考える〈BY〉のこれからについて教えてください。

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藤橋:〈BY〉の服を着ると自信が持てたり、前向きな気持ちになれたりする。そんなふうに、お客さま一人ひとりの日々に寄り添えるブランドでありたいと思っています。加えて〈BY〉というブランドを体感できる場づくりも重要だと感じています。最近は大きな路面店で世界観を表現することが難しくなっていますが、駅ビルなどの限られた空間でも工夫を凝らし、〈BY〉らしい提案をしていきたいです。

小沼:大事な日に着る服を探す時、「BYに行ってみるか」と真っ先に選択肢に上がるブランドでありたいです。そのためには、信頼の置けるラインナップや接客はもちろん、飽きさせない新鮮さも常に提示し続ける必要があると思っています。
―9月からは20周年を記念したロゴ入りの限定ショッパーも登場しますね。

藤橋:〈UA〉のカジュアルラインだと捉えている方もいらっしゃるくらい、〈BY〉はまだまだブランドとしての認知が低いんです。限定ショッパーをつくったのは記念の意味もありますが、もっと〈BY〉を知ってほしいという思いもあります。このショッパーを持った多くの人が街を行き交う光景を見られたら嬉しいですね。

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―20周年のテーマである「BEAUTY&YOUTH&MORE」もプリントされていますが、この「MORE」にはどんな思いが込められているのでしょうか?

藤橋:20年かけて築いてきた「BEAUTY」と「YOUTH」に、お客さま一人ひとりがそれぞれの「MORE」を加えてほしいと思っています。これまでの〈BY〉に新しい価値観やスタイルが重なることで、想像もしなかった未来がひらいていく。そんな期待を込めて、「MORE」という言葉を選びました。
―最後に、お二人にとっての「MORE」とは?

小沼:「PEOPLE」じゃないでしょうか。

藤橋:そうですね、僕もそう思います。

小沼:ものをつくる人、販売する人、選んでくださる人、その価値を次の世代に伝える人。結局、これまでの〈BY〉をつくってきたのは人なんですよね。そして、これからの〈BY〉をつくっていくのもやっぱり人なんだと思います。

PROFILE

藤橋享平

藤橋享平

2002年入社。販売スタッフを経て、2010年より商品部に異動。バイヤーを経験した後、2018年より〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉のメンズファッションディレクターを務める。

小沼悠子

小沼悠子

2002年入社。販売スタッフを経て、バイヤーを経験した後、2018年より〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉のウィメンズファッションディレクターを務める。

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