ヒト
2024.11.21
販売と商品企画、マルチな活躍を見せるベテラン社員の仕事術。
店舗向けセミナーや接客サロンを主催するユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店スタッフの出川明子さん。社内の優れたスキルを持つ販売員に与えられる〝セールスマスターゴールドランク〟に選出されながら、店舗限定アイテムの商品企画にも携わるという、マルチな活躍をされています。そんな出川さんに、入社からの経歴や、販売員としてセミナーやサロンを始めたきっかけ、商品企画に携わるようになった経緯とともに、仕事に対する想いやこだわりを伺いました。
Photo:Taro Oota
Edit&Text:Shoko Matsumoto
販売歴25年で培ったお客様との接し方。
「1999年に入社。ユナイテッドアローズ 二子玉川店のオープニングスタッフを経て、ディストリクトなどのオープニングスタッフとして勤務しました。その後本社へ異動し、VMDの業務に携わるようになりました。その後一度退社するのですが、やはり販売職の魅力を再認識し、2013年に再入社しました。そして2016年の六本木ヒルズ店リニューアルオープンを期に異動し、今に至ります」
——出川さんは社内で2名しかいないセールスマスターゴールドランクに選ばれています。その経緯を教えて下さい。
「アルバイトの時代から現在に至るまで、多くのお客様を接客させていただいております。2019年からセールスマスターブロンズ、シルバーを経て、2023年にゴールドに認定されました。メンズのディストリクトにいたので、メンズ、レディス両方ご提案できるのは私の強みかもしれません」
——実際にセールスマスターになって変わったことなどはありますか。
「明確な変化はあまり感じないのですが、お取引先様へご挨拶で名刺を渡す際などは、〝セールスマスター〟という文言に響いてくださり、場が盛り上がるということはあります」
「特別なことは何もなく、お客様が何を求めていて、何でお困りなのか、問題解決のために全力でお手伝いする気持ちが根底にあります。お客様のご要望にお応えしたい気持ちは、お客様よりも時には貪欲で、時間ギリギリまで諦めません。提案力、スタイリング力、お客様と最速で繫がる力は、特技かもしれません。後輩との関わり方も同様で、接客面で困っていそうな場面に遭遇した際は、ヒントの提案を行い、〝こんな方法もあるよ?〟くらいのノリで後輩の接客のお手伝いをします。また称号をいただいている以上、一緒に働いているスタッフの方が気にすると思うので、お手本にならなければならないなと思っています。見られている意識は以前よりは強くなったので、一角上のプロ意識を持ち続けるようにしています」
参加されるスタッフの方々のきっかけ作りができたら。
「今年の5月に第一回を開催、2回目を10月に行いました。セールスマスターのゴールドを2年間やらせていただいているなかで、ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店副店長の中嶋さんに相談しながら、自分がやっていることで、後輩たちに少しでも何かのきっかけになることがないかと考えていました。もっと楽しく、くだけつつも汲み取って身になる会にできないかなという思いも込めて〝サロン・ド・デガワ〟と名付けました。一回目は〝カスタマージャーニー〟という、お客様のウォッチング、お声がけから接客、最後のお会計までのお買い物の一連の流れに沿って、私のメソッドとして一番大事にしている〝タイムイズマネー〟を私の人となりも含めてお話させていただきました」
——テーマはどのように決められているのですか。
「一回目が終了した後に、アンケートをとると、色々な質問が書かれていました。主な内容がお客様作りや継続する関係性作り。そしてファッションについてのお悩みと大きくふたつでした。せっかくお悩みをいただいているんだから、それにお応えする形にしようと思い、2回目はお客様と継続的に繫がる方法として〝備えよ、常に〟をテーマにしました。私が大切にしている3つの〝備え〟を中心に、自身の失敗談も交えて、全ては自分の体験の中にあるというお話をさせていただきました」
「ポジティブな気持ちを思い出したとか、モチベーションが上がったとか、経験談を聞けて一層がんばろうと思った、などうれしい反応をいただきました。より入り込んだお悩み相談もあって、継続的に繫がる方法の具体策を期待される方もいました。またベテランと呼ばれる方々が、もう一度立ち止まって本当に何をしたいのか考える、いいきっかけになったという意見もあり、世代が近い人により響いているのかなと思いました。3回目を開催するとしたら、例えばベテラン枠のお悩みに基づいた、より具体的な回にしたり、もしくは六本木店に個性豊なメンバーがたくさんいるので、そういう方々の話を対談形式で掘り下げたり、ターゲットを絞ってやってみるのもいいかなと考えています」
——出川さんが主催するサロンの他にはないこだわりを教えて下さい。
「失敗談やしくじった話、衝撃を受けたことなど実際の体験談を交えながら、全体のリズムとワード選び、いわゆるパワーワードの創出にこだわりを思っています。参加されるスタッフの方々の何かのきっかけのひとつになれるよう、中嶋さんと二人三脚で情熱を注いでいます」
お客様の声と自身の経験を踏まえて開発する新しい商品。
「40代というネクストステージが迫り〝私には何が似合うんだろう?〟〝何を着たらいいんだろう?〟と、いわゆるファッション迷子になりました。若作りせず、等身大の自分に似合う、身の丈に合ったおしゃれをこれからも楽しむにはどうしたらいいのか悩んでいたんです。そんな時、たまたま同世代の友人4〜5人と集う機会があり、悩みを打ち明けたところ、まさに全員が同じ気持ちを抱いていたんです。自分の周りだけでも同様の悩みを抱えている人がこんなにいるのだから、世の中にはもっと大勢いるはず! もしかしたらビジネスチャンスかもしれない、と思いました。当時はメンズのディストリクトにいたので、まずはウィメンズの売り場に立って、お客様を研究しないと進まないし、ものづくりも何も説得力もないから、ということで、ちょうど六本木店のリニューアルと重なり異動することに。そして六本木独自のスペシャル商材を作るので、それをまず手がけてみては?とお声がけいただきました」
「スタートした当初は、街の特徴に合わせて、六本木スペシャルは大人のエレガンスとフェミニン、きらきらしたミーハー感を軸に、麻布台スペシャルは大人のエレガンスに加えリラックス、削ぎ落とした美を軸に、それぞれの店舗コンセプトや客層に沿った商品提案を行っていました。だんだんと六本木、麻布台のお客様ともに、どちらの需要も高いことがわかり、2024年春夏シーズンより〝ヒルズスペシャル〟として統一されました」
——ヒルズスペシャルのこだわりポイントは?
「〝おしゃれに問題解決できる服〟をコンセプトに、流行に左右されず、いつの時代もエレガントで、時にチャーミングな、まさに〝タイムレス、シーズンレス、エイジレス〟をテーマにした点です。お客様の生の声を反映したものづくり、そこにトレンドの要素をひとさじ。着るだけで気持ちが高揚するような、着心地のいい服を目指しています」
——11/30(土)より六本木ヒルズ店にて2025春夏の受注会が開催されると聞きました。おすすめラインナップを教えてください。
2025春夏シリーズ、11/30(土)より六本木ヒルズ店にて受注会を開催
2025春夏シリーズ
2025春夏シリーズ
周りへの感謝とリスペクトを忘れず歩み続けたい。
PROFILE
出川明子(でがわ・あきこ)
1999年入社。ユナイテッドアローズ二子玉川店のオープニングアルバイトスタッフとして勤務し、その後正社員に。ディストリクトなどのオープンニングスタッフなどを経て、本社に異動。2016年よりユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店に在籍。セールスマスターゴールドランクに選出されながら、店舗限定アイテムの商品企画にも携わる。