シテンの視点 #4

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2021.09.16 

シテンの視点・#4「やがて繋がっていく物語たち
文:シテン クリエィテイブ・アドバイザー 百々 徹


日常を「ずらした視点」から眺めれば、少し違った景色も見えてくる。

感動が中心になければならない。
やがて繋がっていく物語たちを今創るということ。

種を蒔く人という言葉の「視点」でとても影響を受けた人がいます。ジャン=フランソワ・ミレーです。
1850年にその絵「種まく人」を描いています。絵の正式名称には「を」がなかったりします。リアルな大地に種をまく農民を描きました。
その当時のフランスではブルジョワジーと労働者階級との格差が拡がっていました。なんとなく今の時代に感じるような。
そこでは民衆の不満が募り、古い体制と新しい思想が揺れ動いていた時代でもありました。まさに今のような...
ミレーはありのままを描くことに熱中しました。「民衆の姿」彼はいつの時代、どの国でもそうなのですが、社会を支えている民衆の姿を絵の中心にしました。
それまでの絵画と画家のあり方、特別な人のための肖像画や宗教画のためのものでないものを描いた、今までの価値観への反逆であり「変化」なのですが、
その後この農民のリアルな姿が画壇の賞賛を得ることになりました。

それは種をまく、種とは文化だったり、当時の民主主義であったりしたのかもしれません、
そして大地は世界を表していて、世界に向かってそれを蒔いて行く人の姿で、芽吹いて、花開いて行くイメージだったのかもしれません。
ミレーが描いた種をまく人を代表とする農民の絵は同じ時代やその後の画家たちに大きな影響を与えて行くことになりました。
ミレーがいなければ印象派の登場はもっと後期に回っていたとも言われています。

参考資料:中日新聞 ミレー印象派その広がり:WOWOW CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて:国立国会図書館・美の美:山梨県立美術館所蔵品のミレーの作品たち。


セザンヌ、モネ、ルノワールなど印象派が出てくる20年ほど前に既にあったのがミレー、絵筆の厚塗りや筆跡、
その絵のきらめきは、モネヤゴッホに引き継がれていき、印象派という、大きな美しい潮流の手法を確立させて行くことになリました。
印象派が生まれるはるか前に印象派の礎になった思想の「種をまいた人」がミレーだったとも言えて、現代芸術の源流と位置付けされています。ここからの「変化」と言えます。
「大地に種を蒔き、育て、収穫することが人間の宿命であり、それが尊いことなのだ」 とミレーは言ったといいます。いい言葉ですね。
美の種を蒔くということは新しい文化の種を蒔くということにもつながると思っています。

シテンは新しいものに一歩踏み出すクリエイターたち(内の方も外の方も)の心を大事にしています。 
「次の世代のために種を蒔く」
シテンが大事にしたいこととの共感があります。その共感から生まれ出る、何かを大切にできればと考えています。


およそ2週に一度のペースでコラムを担当させていただきます。


【百々 徹】
2000年から2020年の約20年間グリーンレーベル リラクシングのクリエイティブディレクターをつとめる。
今はその知見を活かした様々なアドバイスをしている。

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