シテンの視点 #7

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2021.10.29 

シテンの視点・#7 「Small is Still Beautiful
文:シテン クリエィテイブ・アドバイザー 百々 徹


オリジナルの書にはStillはない。
その世界では有名であり、とりわけ最近では環境問題意識などに大きな影響を与えたとされる著、シューマッハーの『スモール・イズ・ビューティフル』 1973年に著されています。
地球環境の破壊、格差、南北問題などを次々に生み出してきてしまった西洋経済学への指摘は、その当時以降、またたく間に石油危機が起こり、明らかに予言的な一冊として評価されてベストセラーになった。
内容をかいつまむと、現代文明を支配する物質至上主義と科学技術の巨大信仰を、体制を超えた産業社会の根底にある問題を、指摘した初めての文章というか論文であった。
その後のいろんな視点に大きな影響を与え続けてきた「スモール・イズ・ビューティフル」は、その当時以降の真に新しい人間社会を模索していた人たちにとっては歓迎されるべき、書となった。
私たちに関係する業態のファッションとしてのパタゴニア、パタゴニアをファッションと呼ぶかには諸説あるだろうが、そこはさておき、
イヴォン(パタゴニアのファウンダー)やダグ(ノースフェイスのファウンダー・なんと南米のパタゴニアに住んでその生活を実践されていたのですが、水辺のアウトドアアクティビティーのカヤックの途中に低体温症で亡くなられています。不慮にも転覆し水に濡れた原因のようです)
つまりヨセミテの壁を登っていた仲間たちには目からウロコの文章ではなかったのかと、ここは想像し推論するしかないが、
パタゴニア社が最近の広告宣伝の中で、この文章をスティル入りで使用表現していました。オーガニックコットンの話で。
「Small is Still Beautiful」あたらずとも遠からずの関係があるのではないかと、ここも推測する次第です。ま、余談はこれくらいにしまして、、、


ここにおける注目すべき詳細にわたる議論、シューマッハーは「大」は常に善か?と問いかけ、人間のサイズに合致した「小」の美を訴えたのでした。
そして人間の叡智と経済学を繋ぐ、人間中心の経済学の必要性を主張しています。
経済、政治、社会の規模が大きくなればなるほど、人は悲人間化する可能性を招いてしまう可能性が出てくる。
「足ることを知る」経済哲学が今こそ説かれなければならないと言っています。

最近は天候などの予兆的な変化、温暖化やそれに伴う巨大台風の発生や洪水という、明らかに目に見える変化に遭遇し、主要国はこの問題に積極的に関与しようとしてはいますが、
片方、矛盾すると思われるような経済成長をまだ主目的としています。このあたりで環境破壊を起こす根本的な要因について考える必要性があり。
人間性を忘れない、将来に負担をかけない「持続可能な社会の構築」 これこそが今望まれています。
そして若い世代ほど敏感に積極的にこれらのことに反応している様に社会を見ていても今思えます。それはやがてそれこそが自分たちの時代だからであります。

以上の様な論点をへても、この本の原書は50年近く前に書かれているにもかかわらず、依然、将来的にもインパクトを残す可能性のある読み物として。
Still・依然 という言葉を原題に付けられると、そういう視点こそが大切と今考えます。思考の多様な視点をスポイルしないということでもあります。

写真は京都議定書が採択された場所としての国立京都国際会館

宇宙基地のような建築設計は1966年に竣工されていて、今見てもとても優れたデザインの内外装になっています。今回のコラムのために取材に行ってきました。
京都議定書の採択の場であることともに、京都の街の思想は小さな老舗が数百年続いている企業の数で人口比率日本一。
なんと創業して200年以上続いている企業が100社以上も存続しています。
創業が古い企業ほど京都に集中しています。京都には今にも通用するSmall is Still Beautifulの思想を代表するような都市でもあると言えます。Stillのある風景・京都。

2年ほど前に京都の地下鉄車内で撮った写真



今回の内容で私が大事にしている本、それにしてもWHOLE EARTH CATALOGの素晴らしさ、今でもまだ響いてくる。Small is Beautifulと同じ世代に発行されています。
Live Smart. Think for Yourself. Transform the Future は今も心の根幹にあります。

Playful Mind,  Logical Inspiration, Love Difference

ものには色んな視点、諸説があると思います。多様な角度からの視点で見ていますことをお含みおきくださいませ。



およそ2週に一度のペースでコラムを担当させていただいています。



【百々 徹】
2000年から2020年の約20年間グリーンレーベル リラクシングのクリエイティブディレクターをつとめる。
今はその知見を活かした様々なアドバイスをしている。

参考:スモール・イズ・ビューテイフル:F・F・シューマッハー、Small is Still Beautiful: Joseph Pearce、国立京都国際会館、映画:180°SOUTH

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