シテンの視点 #5
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2021.10.01
シテンの視点・# 5 「色彩都市」
文:シテン クリエィテイブ・アドバイザー 百々 徹
いい秋ですね。そんな言葉を交わし合うことが、今はとても嬉しいことのように思えます。
そよ風が立って、あたりが目に見えて秋らしくなると、心の中まで爽やかな感じになります。はげしかった夏のあとだけに、色の間でも
しっとりと落ち着きのあるものにこころひかれるものです。「秋の心」をまといたい・・・・・そんな気持ちにふとなったとき、
装いの色は秋の自然の色にとけ込むような、素直な選び方をなさいますように・・・・・
紫 紫という色は、豊かさを感じさせる色のひとつです。昔から高貴な色の代表とされてきましたが、現代でもやはり高尚さと豊かさをもつ色として、
ここ数年はつとに愛される色になりました。その豊かな感じからでしょうか、みのりの秋にこそ紫が特にしっくりと似合うように感じられる。
紫という色は、やさしく、しとやかなニュアンスを秘めているニュアンスカラーなのですね。
秋の色としては春先のすみれ色というよりも、その中に秋の心の清澄さが欲しいという意味で私はアメジスト色(紫水晶)と申し上げたい。
そのあくまでも澄みきった濃い紫をじっと見つめていると、それは艶に流れず、神秘に走らず、ほどよい気品と風格、
そして優雅な色合いをもっていることがわかります。そしてこっくりとして深い調子の、くれないの赤紫。
それは例えてみるなら、秋の入日の美しさといえないでしょうか。
茶 一般に昔は秋の色と考えられているのが茶色でした。しかしながら今では、申し上げるまでもなく、
季節を超越して使われる色になりましたが、やはりふさわしいのは秋といえないでしょうか。
凋落の秋―茶色。こんな連想が、私たちをそう思わせているのかも知れません。木々の色が色づいて、やがて散って枯葉色になるー。
枯葉、朽ち葉などの茶色には、ひっそりして静寂な美しさがただよっています。わずかに黄みをもった茶と、わずかに赤みをもった茶。
そのどちらも明るさは中くらい。濃からず、薄からず、いずれも渋く落ち着いた調子の茶色です。
こげ茶よりも着こなしやすい茶色がこれらです。持つものやアクセサリーに色をきかせるのがポイントですね。
さあ、素敵な色の 「新しい服」 をきてどこへ出かけましょうか。
装いも新たに旅に出てみては、、、近場でいい。
旅の自由を奪われて久しくなってしまった、そう感じている人も多いことでしょう。
本来、旅は人の脳を活性化させる、見て、聞き、体験したことはとても脳の活動を高める。
今まで体験したことのない事象はさらなる感動の原点になるはず、そこからですよね。羽ばたく自分にエールを。
人は、心があたたかくなる風景に今年あといくつ出会うことができるのでしょうか。
広い道ばかり歩いていたら、きっと見つからなかったと思う風景やその時に出会うであろう場面や感情に。
その先をもう少し歩いてみましょう。日常を「ずらした視点」から眺めれば、少し違った景色も見えてきますよ、きっと。
新しい感動には新しい服を着て。
思い立ったら、ひるまず。
シテンが大事にしたいこととはそんなこと。
およそ2週に一度のペースでコラムを担当させていただきます。
【百々 徹】
2000年から2020年の約20年間グリーンレーベル リラクシングのクリエイティブディレクターをつとめる。
今はその知見を活かした様々なアドバイスをしている。