シテンの視点 #8

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2021.11.12 

シテンの視点・#8 「直観を磨くもの
文:シテン クリエィテイブ・アドバイザー 百々 徹

美を見出す力」モノを創り、あるいは表現を監督するものにとって、もっとも重要なものは、知識を支えにくる「直観」であると私は思う。
そばにいる、知る人の知識に自ら聴きに行くことが大事だ。
自分だけでは限界があるし、都合の良いようにしてしまう。




まもなく3年になる、この当時これをどうしても見たくて行った。
柳は何を持っての「直観」なのかと。柳の日本民藝館で。「直観」は感じるではなくてであるところにご留意いただきたく。
柳の民藝館、前人未到の業績を可能とさせたものは、ほかならない柳の「直観」でした。
柳は、「直観とは文字が示唆する通り『直ちに観る』意味である。美しさへの理解にとっては、どうしてもこの直観が必要なのである。
知識だけでは美しさの中核に触れることが出来ない」と、
そして「何の色眼鏡をも通さずして、ものそのものを直に見届ける事である」と述べています(「直観について」1960年)。



「小林秀雄」今の時代の人が理解するには昔の人すぎてわからないだろう、その感覚が。
そのままは持ってこれやしないのか。30年単位ぐらいで思想は変遷していく、
つまり時代に、その部分的に合わなくなってくる。しかし、だからと言って知らないことで済まされない。
これをベースに時代変遷した論調にもなっているからだ、今が。
2013年のセンター試験に出た小林秀雄が。問題を見て泣いた子達もいたというのだ。そうだろう、全く学んでなかったからだ。
それに関しては諸説が噴出したが。そもそも問題としてどうなのかと、しかしそうではない。
センター試験レベルの10万人ほどのやがては日本の未来を支える礎となる可能性もある人たちには、
この人を経て変遷した論調が今なのだと理解してもらいたいという作問者の気持ちであったのだろうと、私なら推察します。

小林秀雄への影響も大きい?
柳は小林の13上で柳は東京帝国大学文学部哲学科、小林は同大学仏文科でフランス語が話せた。
小林が学校を出て社会に出た頃には柳はもう世の中に発信していた頃、「白樺派」の影響を受けていないはずはないと思うのだが、
13個上ぐらいの人には一番影響を受けやすいように思うのだ。

日本民藝館には学ぶものがとても多い、単に「民藝」というものでもない。

変わって、これは上野のトーハク・東京国立博物館所蔵の埴輪
イラスト、埴輪(はにわ)盛装女子。古墳時代6世紀、群馬の伊勢崎市からの出土品。
重要文化財、女子埴輪の大半は半身像ですが、この埴輪は珍しい全身像です。
この女性は上の服を重ね着して、スカートをはいていて、通常、弥生時代の女性はワンピースを着ているものですが、
この女性は上下のわかれるツーピースを着ています。頭には髷(まげ)を結い、耳にピアス、首にはアクセサリー、手にも指輪です。
この女性は華やかに着飾っているので身分の高い女性だったと思われます。
日本には1400年も前からファッションと言えるものが存在していたし、いろんなファッションをためしていたのだ。
東京国立博物館に行けばいろんな直観にであえる。縄文土器、中でも火焔土器の装飾性の豊かさに驚く。
そして、2月まで皇居北の丸公園近くの東京国立近代美術館で「民藝の100年展」が開催されています。
日本のプリミティブの真髄にふれてみては。

ものには色んな視点、諸説があると思います。多様な角度からの視点で見ていますことをお含みおきくださいませ。

およそ2週に一度のペースでコラムを担当させていただいています。



【百々 徹】
2000年から2020年の約20年間グリーンレーベル リラクシングのクリエイティブディレクターをつとめる。

今はその知見を活かした様々なアドバイスをしている。

参考:小林秀雄「直観を磨くもの」東京国立博物館、日本民藝館

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