シテンの視点 #13
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2022.01.21
シテンの視点・#13「想像力は資本・ウィーン分離派」
文:シテン クリエィテイブ・アドバイザー 百々 徹
ウィーン分離派とは19世紀末のウィーンで同時期に先にあったミュンヘン分離派(ユーゲント・シュティールの一つの集団、その後のベルリン分離派などにも影響)に影響を受けて結成された新進芸術家のグループのこと。総合芸術を志向していたところが特徴であります。あの著名な画家グスタフ・クリムトを中心にした世紀末芸術集団であります。新しい造形表現を追求しました。それぞれのドイツ、オーストリアの保守的な芸術家連盟から独立し分離するということでその名がある分離派。それが世紀末の代表的な造形運動につながっていく、驚くべきは現在も存在していることにある。つまり新世紀に向かった新しい造形運動の生まれということ。
新しい生まれがそこにあった、新しくならざるをえないために新しいものが生まれる、生むということ。それは時代の必然、歴史的にもそれが繰り返している。
ヨーゼフ・ホフマンの世紀末の曲木椅子・フレーダーマウス/WITTMANN社写真より引用
で、ウィーン分離派である、クリムトを中心ではあるが、私はヨーゼフ・ホフマンという建築家でありデザイナーに以前から興味を感じていました。ヨーゼフは新世紀(20世紀)に入りウィーン工房を主宰しました。住宅、インテリア、家具をはじめ、宝飾品からドレス、日用品、本の装幀など、生活全般に関わる様々な分野でデザインを行いました。私は影響を受けました。この時代にすでにドレスというのはいいです、まさにクリムトの絵などは、ファッションよりもファッションしています。単一ではなくて連鎖する総合的な造形デザイン(それは結果的に芸術ではなくてデザインそのものの定義を意味している)を指揮するというところに高い創造性があります。単一のデザインではなく総合デザインを指揮するというところです。それはファッションに明確な影響も与えていて、単に服というジャンルでなくて、俗っぽく言い換えれば、服もその他もお洒落ということで総合的です。すでにそういう時代になってしまった視点が見ることができます。
つまり想像力は資本となり得るということであって、それらのその後の展開や繋がりに明白に見ることができます。世紀末まで遡ることによって新しい時代への創造力の重要性、シテンの視点を知ることができます。
世紀末のモダニズム、ウィーン分離派の影響を今も色濃く残すWITTMANN
https://www.instagram.com/wittmann_official/
WITTMANN社のモダニズムの象徴のロゴ、最近のデザインではない、かなり以前のものであります。
ものには色んな視点、諸説があると思います。多様な角度からの視点で見ていますことをお含みおきくださいませ。
およそ2週に一度のペースでコラムを担当させていただいています。
【百々 徹】
2000年から2020年の約20年間グリーンレーベルリラクシングのクリエイティブディレクターをつとめる。
今はその知見を活かした様々なアドバイスをしています。
参考:WITTMANN家具工房