シテンの視点 #14
WOMEN / MEN / シテンの視点
2022.02.04
シテンの視点・#14「SIMPLEの視点」
文:シテン クリエィテイブ・アドバイザー 百々 徹
SIMPLE という本のシリーズで、その上に小さくCHIC・シックとある、ここが重要だと思う。
シックとはフランス語が語源で「熟練・技術」という言葉が意味としてある。それが英語的、服飾的解釈であると、「上品さ・あか抜け」という意味にまで、解釈は変異する。世界を覆う未曾有な状況を反映してか、服飾的潮流を見るにつけ、どうもSIMPLEということばが、先端的であればあるほど、気にかかるキーワードになっているように思う。それはただ服飾的な世界にとどまらずであります。そのCHIC・ SIMPLEであるが、従来的解釈でありつづけた、「上品さ・あか抜け」というよりも、むしろもっと語源である、熟練・技術、ということばに近いようにも思えてならない。いろんな解釈や価値や普遍性すらも、シャッフルさせうる、本格的な社会的変容の到来を予感させる。今、世にあふれているシンプルという、とても使い易く使われているキーワード、価値観、定義、見え方、すらも、どうもすでに、変容の対象として、時代に係わらなければならない視点であるように思えてならない。しかしながらそれには、シックでありシンプルな語源となった、およそ25〜28年ほど前に、とても評価・賞賛された、シンプルの定義を服飾的にはさかのぼって見ることも重要だと思う。それらを踏まえて、今とこれからはどうあるべきなのかということでありますから。
その表現は服飾だけにはとどまらない、それがゆえに説得力のある世界観があった。
ただシンプルではなくて、言わば、色・艶があった、今の時代のシンプルはそれをあえてスポイルさせている、それはフランス的語源解釈にたてばシックでないと、私的解釈でそう思っている。
リアル・クロージングの定義を美しい本にまとめたといえる。
ストーリーと世界観がいかに重要かということを示した最初の本であるとも。イメージでは作れても、このように話そのものをまとめることがどこも出来てはいなかった時代にはとても賞賛された。改めて今回のテーマにより詳細を深く見直してみると学ぶことは多いように思う、特に表現を主(つかさど・役目としてその仕事をする)る人に於いて。ジャンルは問わないだろう。
引用:CHIC SIMPLE米・英版より
もう一話、とても興味深い個展に行ってきました、前衛。
モダンアート・ギャラリー taronasu で野又穫(のまたみのり)さんの作品展「月下-Gekka」を開催中です、入場は無料ですので是非。
「予兆の画家・空想建築」の作品に圧倒されました。このパンデミックの世界の時代にあらためて見る「予兆」
先週見てきました。2月19日までです、現物を見れますからとても貴重です。六本木交差点からすぐです。
ものには色んな視点、諸説があると思います。多様な角度からの視点で見ていますことをお含みおきくださいませ。
およそ2週に一度のペースでコラムを担当させていただいています。
【百々 徹】
2000年から2020年の約20年間グリーンレーベルリラクシングのクリエイティブディレクターをつとめる。
今はその知見を活かした様々なアドバイスをしています。
参考:CHICK SIMPLE、ギャラリーTARONASU TOKYO