シテンの視点 #19

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2022.05.10 

シテンの視点・#19「モダン・コミュニティの視点」

文: 百々 徹


フランソワ喫茶室、2003年、フランソアは喫茶店としては初めて国の登録有形文化財に指定された。1934年に創業している。
京都・四条河原町の交差点から四条小橋を少し下がったところ、正面に老舗の漬物屋さんがありその右手前に伝説となった喫茶室がある。東京への遷都にともなって一度は衰退した京都は、明治時代以降の近代化のなかで、復興を遂げ、教育や先端技術、文化振興や観光など、様々な分野でめざましい発展を見せる。そうした先進性を象徴するように、京都という都市には数々の名建築が生まれました。そして幸運なことに、これまで震災や戦災による被害がほとんどなかったことから、明治から大正、昭和にかけて建てられた洋風建築や近代和風建築、モダニズム建築など、いわゆる「モダン建築」が今も数多く現存している。京都は、建築を巡りながら日本の近代化の過程を肌で感じる視点を持てる大変興味深い都市なのです。

この喫茶室「フランソワ」は社会主義運動に身を投じた立野正一が、思想や哲学、芸術を語り合う場所をつくる意図で創業した。外観はロマネスク様式、ゴシック様式、コロニアル様式などを一体化した、洋風建築であります。内装には和風な天井とイタリアンバロック様式のねじり柱、そしてとても印象深い、ステンドグラスなど、全体がバランスよく、内外装とも折衷的なデザインをまとめ上げた、かなり稀有な京都らしい洋風建築となっています。
そしてそれは喫茶店として初めて国の登録有形文化財となった。現在は、そのレトロな洋風でモダンな店内外の風貌や印象的なインテリアから若い客もとても多く、特に女性「フランソワでお茶」が事象となっている。創業当時のフランソワには名画の複製が数々飾られていた。画家を目指していた創業者が買い集めたものです。その筆頭にあったのが、フランソワ・ミレーの「種まく人」です。モダン・コミュニテイをその思想の源流とした立野にとって、ここは種まく人たちのコミュニティだったと思われる。
ただ服を売る場でないと考えるシテンにも現代のその「モダン・コミュニティ」としての場があると言える。すでに時代は服を着るという目的だけではないのだとも。

伝説となった"かわいいメニュー"アートなメニューである。

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文化と自由のオアシス「フランソワ」その歴史は今も続き、日々新たな若いたくさんの人たちが訪れている。

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高い創造性のある京都の喫茶店の歴史はコーヒーとサンドイッチの美味しさにある。今もフランソワはそれである。玉子サンドはすごい。

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ハイカラな伝説的メニューのプリンも創造性が高い。そのメニューのどれもが美味しいのである。それこそが店が続いてきた理由だ。

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ゴシックやバロックという内装的な風貌を見せる、音楽も本格的だ。

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天井の美しさに驚く、造形に宿る思想がある。和風に見える天井。

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京都大学に留学していた頃にフランソワに通い、友人たちと待ち合わせの場としていたフランソワの話は有名、ドナルド・キーン博士。

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ものには色んな視点、諸説があると思います。多様な角度からの視点で見ていますことをお含みおきくださいませ。

およそ月に一度のペースでコラムを担当させていただいています。



【百々 徹】 
家具インテリアで15 年、ファッションで22年、横浜・石川町の小さな雑貨店の店主として7年目、コラムニスト。



参考資料:フランソワ喫茶室、モダン建築の京都、月刊新潮広告、写真・百々 徹

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