シテンの視点 #26

シテンの視点・#26

文：百々 徹

STUMPTOWN COFFEE ROASTERSに見るデザイン視点

私はコーヒーを外で飲むことはあまりなくて、家でもあまり飲まない。嫌いでは全くないのだが、お茶と紅茶を飲むからだ、心がけてそうしているからで、今の本業の仕事柄と言えばそういうことだ。そんな中でも、飲みたくなるコーヒーの筆頭がこのスタンプタウン コーヒーだ。アメリカ西海岸の北の都市、ポートランドの発祥である。ポートランドにおいてもACE HOTELの中にあり、ニューヨークのダウンタウンのACEにも中に入っている。世界でも10店舗しかなくて、米国以外では京都だけである、それはACE HOTELと関係していると思うのだが内容は定かではない。
小売店は丁寧に作らなきゃならない(店舗や店舗デザインを初めとし、商品は無論である、場所の選定しかりである)時代が来ている、どこにでもいつでも買える場があるからだ。じっくりと抽出するように店舗を増やす感じ、人の育成もファンの皆さんの付き方も大事で、無理せず確実にいい店、商品で根を張るということなのかな。
ここが好きな理由の一つに内装のセンスの良さがある、それはACE HOTELとリンクしていて、あらゆる部分に神経が行き届いたデザインが踏襲されているからで、どの部分を取り上げても隙がないように見える、好きすぎて、贔屓な目で見ている部分も多分にあろうが。センスの隙間が無い、現在(いま)は。スタッフの所作までそれを感じる、ポートランドの店を見た時に感じたものを同じように感じる。これら他のサードウェーブコーヒー(家・職場・そして自分の居場所としての三つ目と、コーヒー店の形態の潮流としての第三の意味がある)も含めて、あらゆるもののデザインが他のどの業態(ファッション含めて)よりも先駆的であるように感じている。京都のスタンプタウンコーヒーロースターズ この写真のどの部分をとっても隙はない、カウンターの前にあるスツールのようなものは木の根っこ、つまりスタンプを意味している。誰も気づきはしないが。。。思想をちゃんと出している、ランプのセンスに驚くのだ、他の最近のコーヒーチェーンを含めてそう思う。あざとさがないのに先駆なデザインをしているシテンの視点がある。それは周到に計画されたもののようにも感じる、店舗計画から出店計画まで、忖度を感じないもの。オリジナルである。
たくさんを見てきている(モノだけじゃなくて)人の目があるように感じる私だった。
日本のコーヒー文化の聖地、京都に出店していることがいさぎよくて気持ちいい。
とてもセンスいいパッケージデザイン、サードウェーブ・コーヒーの中でも際立っているように思う。これはアメリカのオンラインとホールセール(卸し)用のものです。
場所は変わって、12年ほど前に北・西海岸の環境都市・ポートランドのやはりACE HOTELに泊まった時に同じ館の中にあった、小さいけれどデザインはパワフルなものだった当時の写真から、米国のサードウェーブコーヒーの流れは当時から内装や設(しつらえ)はとてもデザインが良くて、あらゆるデザイン(建築・内装・カップ・パッケージデザイン・ロゴデザイン)の全てが極めて高いレベルにあった、優れた、また"夜明け前"の人たちが集中してたくさんいるという現象があったように思うシテンの視点が見てとれていた。
当時の価格だが、とても安く感じた。今やこの価格ではないだろうが。
上はこの時に泊まったACE HOTELのPORTLAND 、シアトルから始まったACE HOTELだが実質の始まりはここポートランドと言えるように思う。グリーンネーバーフッドの思想を徹底し、リノベつまり再開発の物件に意図して入っているACE 。それは環境意識からだ、新たに大きな建物をゼロから建てることによるエリア環境負荷を良としない思想だ。京都のACEも新風館をリノベした物件だから入っている。

いずれにせよ、今回の視点はスタンプタウンコーヒーのデザインだ、どの部分、外見のデザインだけでなくて、中の思想までデザインされていて、それが普通に形骸化するという手法を踏まないデザインという視点なのだった。

時代のキーワードは「夜明け前」だ。

ものには色んな視点、諸説があると思います。多様な角度からの視点で見ていますことをお含みおきくださいませ。

およそ月に一度のペースでコラムを担当させていただいています。

百々 徹：家具インテリアで15年、ファッションで22年、横浜・石川町の小さな雑貨店MWL STOREの店主として7年目、コラムニスト。

参考：スタンプタウンコーヒーロースターズ京都、ポートランド店、ACE HOTE京都、ポートランド。全ての写真：百々 徹