シテンの視点 #28

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2023.02.13 

シテンの視点・#28

文:百々 徹

デジタルの時代にイラストレーションの持つ力。

2018年頃に掲載された星野リゾートの優れた雑誌広告からの引用。今見ても圧倒するものがある。当時何年か使われていた。この以前から目がとまっていた「大野舞」さんというイラストレーターの作品で、旅の経験の多い大野さんらしい、描き下ろしではなくすでにあった作品からイメージに合うからという引用のようだ。その通りで、絵だけでもコピーだけでも、よりもこの絵とコピーのマッチングと、星野リゾートと言えば、現場に行けばすごい写真はいくらでもあるだろうから、そういうシーンの広告写真を想像していたのだが、これはそれらを裏切って、とても想像力が広がる、というか星野リゾートの可能性を宇宙規模的にさらに広げるような広告になっていると思うのだ、私的な感情として。この絵の持つ力強さが、コピーが、そして星野リゾートが当時すでに持っていたイメージを含めて。それらが相まって一致した広告ヴィジュアルというか。イラストはとても強い力を持つ時がある、優れたアートディレクションと出会うことによって。もちろんクライアントそのものが良くなければそのイメージにはなりえないのであるが。歴史に残る広告を打つ、沢山の広告の中から少しでも真髄に触れるような、誰かの琴線に触れる広告を作れるところが、ブランドが、将来に残ると、私は思います。ここにシテンの視点がある。たとえどんなデジタル推しの時代になったとしても。資生堂も三越もサントリーもそうでしたね、優れた広告を打つ会社は小さな頃からその片鱗を見せるものです、が私的な持論。会社やブランドの規模じゃなくクリエイティブの心だと思います。そして企業が持つセンスそのもの。人はそういうものに強く惹かれる、と信じて疑わないのですがね、どうでしょう。
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IMG_8024.JPGそして星野リゾートといえば、この日本の南の果て、のリゾート。10年近く前にマイブームで何度も通ったところ。ここのいいイメージが今も残る。
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マングローブの林が広がる、海水と淡水の接点の汽水域に広がる。

西表島は沖縄本島からさらに430km。沖縄本島からダイレクトアクセスはなく、石垣から高速艇かカーフェリーだ。多くの人は時間が短い高速艇に乗る、が、これが弾丸なのだ、外海に出てからの揺れに、とにかく体が竦(すく)む。まずその洗礼を受けての西表到着になる。ちょっと行ってみようかなという気軽に来れる場所でもないが、行ってしまえばその非日常性の亜熱帯90%の魅力にハマることになり何度も来てしまう。忘れられないのだ。
IMG_8026.JPG日本の数ある南西諸島の中でも特異性で圧倒的に際立つ西表島。いつか行かれてみることをお薦めする。沖縄から430kmはかなり遠く、日本ではない景色の宝庫だから。既存が変わる瞬間がありますね。

ものには色んな視点、諸説があると思います。多様な角度からの視点で見ていますことをお含みおきくださいませ。

およそ月に一度のペースでコラムを担当させていただいています。

百々 徹:家具インテリアで15年、ファッションで22年、横浜・石川町の小さな雑貨店MWL STOREの店主として7年目、コラムニスト。

参考と引用:大野舞さんのイラストによる星野リゾートの雑誌広告
写真の撮影 全ての写真:百々 徹

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