ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2016.06.30 THU.

働くママが実践する、チームワークが生む「最強の接客」

ユナイテッドアローズが唱える「ヒト(高度に完成された接客•サービス)」を体現するショップスタッフ。今回は初めての女性スタッフ、それも働くママが登場。時間を効率的に使うコツから、販売のときの具体的なイメージ、さらに顧客を魅了する心遣いまで、「ジュエルチェンジズ 横浜店」の宮田まりさんに話を伺いました。女性ならではのしなやかなチームワークが生む、最強の接客術とは?

Photo : Lisa Mogami
Text : Maho Honjo

働くママとして大事なのは、素早い伝達と心からのお礼。

—今、宮田さんは働くママとして時短勤務をしてらっしゃいます。ある1日のスケジュールを教えていただけますか?

宮田:朝は6時半に起きて、朝ごはんをつくって家族で食べ、私と娘の準備をすませて、8時15分には自宅を出ます。保育園に娘を送って、出るのが8時半。電車に乗り店鋪に9時20分に着いたら、9時半から仕事スタート。掃除や商品整理、レジ開けをして、10時に店鋪オープン。12時にランチ。13時に戻って16時半まで一気に働きます。17時半ごろお迎えに行き、18時半から夜ごはん、19時半からおふろ、21時半に娘を寝かせ、一緒に寝てしまうこともあれば、一度起きて家事をすませたりして、遅くても23時には寝てしまいます。

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—あっという間の1日ですよね。24時間を効率よく過ごすための工夫はありますか?

宮田:家→保育園→駅の移動はすべて自転車です。特に朝は余裕がないので、スピーディに動ける自転車はすごく便利。さらに天気予報チェックは欠かせません。雨だと自転車に乗れないし、天気を把握しておくと、娘と私の朝の洋服選びもスムーズになるので。ちなみに朝は旦那さんが犬の散歩に出るので、「雨が降り出した」とか「意外に肌寒い」など彼からのリアルな情報で判断できます(笑)。

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—母親業と仕事を両立させるために、仕事のスタッフに対して心がけていることはありますか?

宮田:「すぐ連絡、すぐお礼」に尽きますね。少し遅れそうとか、不安要素は小さなことでもすぐに連絡します。逆に、お客様からのうれしい声などプラスのこともすべて素早く。そして同時に「○○してくれてありがとう」と伝えます。特別なことではないかもしれないけど、その積み重ねが信頼につながると思うんですよね。

—ちなみに「ママ」と「働く女性」と、気持ちの切り替えはどのようにしているのですか?

宮田:今は電車の移動時間が「ひとり時間」なので、そこで気持ちを切り替えます。車内での読書がとてもよいリフレッシュになっています。短い時間でも本の世界感に浸ることで、パチンと何かが切り替わるんですよね。そして駅に着くと周りの人のキビキビと通勤されている風景を見て、自然と働くモードになります。スイッチングタイムとでも言うのでしょうかね。

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「私のお客様」から「私たちのお客様」に広げるのが楽しい。

—宮田さんが接客をするときに心がけていることを教えてください。

宮田:「目の前にあるものと、目の前にあるもの以外に目を配る」ことですね。

—それってどういうことですか? 少し難しそうです。

宮田:ひとりのお客様の接客に一生懸命になるのは素晴らしいことだけど、それで周囲に目がいかないのは本末転倒だと思っているんです。これは基本中の基本ですけど、お洋服をたたんでいるときも、店頭にお客さまがいらしていないか、目を配るんです。同じく、お客様と接客中でも、どこかで店全体を意識します。そして、ほかのお客様の動きに気づいたら、すぐにスタッフに合図します。お客様は目の前のひとりだけではない。でも自分が接客できるのは限られている。なので、チームワークで接客をするんです。

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—チームワークという言葉は出ましたが、実はほかのスタッフから、「宮田さんは、自分の顧客をつくるのはもちろん、それらを店鋪全体の顧客に広げていくのが上手だ」と聞いています。

宮田:確かに、自分だけのお客様という感覚はないですね。特に今は、自分が店鋪にいられる時間が限られているので、「宮田さんがいないから」と帰ってしまわれないように、ほかのスタッフを巻き込むようにしています。

—巻き込むんですね(笑)!

宮田:あるお客様がいらしたら、「それでしたら、スタッフの○○が着ているこちらはいかがでしょう?」とか、「○○様が悩んでいらっしゃるこちらとこちら、どう思う?」など、会話のなかにお客様の名前もスタッフの名前もさりげなく盛り込んで、接客に巻き込みます(笑)。すると化学反応が起こって、お客様がより深く納得してくださったり、また別の意見が出てきたりして、盛り上がるんです。お客様のお名前と来店日、購入アイテムはすべてリストにしているのと、スタッフがそのお客様の名前と顔を覚えたかどうかも、すべてチェックリストにしています。

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—なるほど、徹底しているんですね。

宮田:自分のお客様を接客しているときに重なっていらしたお客様が、自分の接客を待ってくださっているのは最高にうれしいこと。でも、そのお客様がほかのスタッフと親しくなってくださっていたら、実はそのほうがうれしかったりするんですよね。チームワークで接客できることが、何よりもの喜びなのかもしれません。


お客様のワードローブを一緒につくるお手伝いをしています。

—実際、お客様にお洋服をすすめるときに意識していることはどんなことですか?

宮田:お客様のワードローブづくりのお手伝いをする、というとわかりやすいでしょうか。まずその日に着用されている一着から発想して、それに合うアイテムをおすすめする。それをご購入くださったら、次回はそのアイテムに合うもの、そして次回も…というイメージです。そのために、まずお客様の背景を勉強します。お仕事や住環境、好きなテイストや趣味など、会話の中から少しずつ。

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—お客様のパーソナリティを把握するんですね。

宮田:「この夏、1カ月アメリカに行くんです」という話をしてくださったお客様に、「ならば、解放感のあるアイテムがいいですよね」「さらに洗える素材だと便利ですよね」と提案していき、いつもお客様のワードローブをイメージして接客します。

—ちなみに、喜びを感じるのはどんなときですか?

宮田:おすすめしたアイテムをお客様が気に入ってくださり、ご満足いただけたときですね。お客様がお買い物の時間を楽しんでくださるときは、わたしもすごく楽しくて、さらにご提案したものを選んでくださると、達成感もあり本当に嬉しいです!

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—今までいちばんうれしかったことは?

宮田:あるお客様が「#Jewel Changes」とハッシュタグをつけてSNSに上げてくださった、すごくうれしい投稿がありました。他のスタッフと2人で接客した方で、そのお買い物自体もすごく有意義なものだったのでよく覚えていたのですが、一緒にご案内をしたスタッフがお客様のストッキングが伝線していることに気づき、そっとお伝えしました。お会計のときに私も、「4Fに靴下のお店がありますよ」と言葉を添えたんです。投稿にはお買い物とその一連の流れと、「今日も1日元気に過ごすためのパワーをもらった」というようなコメントをいただいて。それも、その投稿に気がついたのが他のお店の店長で、ハッシュタグから気づいて、会社に報告してくれたんです。そのすべてに感動し元気や勇気をもらうって、こういうことなんだって実感しました。

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—まさにチームワークですね。

宮田:時間をかけてていねいに接客する、そうやってスタッフだけでなくお客様ともチームになる。それが私らしい接客であり、理想の形なのかもしれません。

INFORMATION

PROFILE

宮田まり

2005年入社。2007年からJewel Changes 名古屋パルコ店・六本木ヒルズ店で店長経験し、2013年に出産。2014年に現在の横浜店に復職、15年より同店の副店長として勤務。

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