バスクシャツ

Standard Book ずっと大切にしたいもの。

バスクシャツ

Breton Shirt

由緒正しき、
フレンチ・マリンの定番

映画『勝手にしやがれ』(1960年)のジーン・セパーグ、『ビバ!マリア』(1965年)のブリジッド・バルドー、『なまいきシャルロット』(1985年)のシャルロット・ゲンズブールなどなど。「バスクシャツ」は、いつだってシックなフレンチムービーの象徴だ。

そんなイメージとは裏腹に、洒落た可愛さとは無縁のルーツを持つ。もともとは、フランスとスペインにまたがる海辺・バスク地方で16世紀頃から漁師や船乗りたちが着ていた作業着だったそう。だから、そのディテールにはそれぞれ意味がある。厚手のコットン地は、衣類としての耐久性と海風対策を兼ね備えるための必然であり、ボートネックは濡れたときにも脱ぎやすいように、短めの袖丈は袖口の水濡れや作業時の計器への引っ掛かりを防ぐために。そして横縞のボーダー柄は、もしも海に転落したときに目立って発見しやすいように取り入れられたとも言われている。また、ボーダーには”海が荒れない凪”というお守り的な意味合いもあるのだとか。つまりは、その全てが機能性を重視した実用的なデザインというわけだ。しかも、その機能性は実証済みで、1850年代から現代に至るまでフランス海軍のユニフォームとして採用されている。本来バスクシャツは、質実剛健なワークウェアであり、ミリタリーウェアなのである。

ファッションとして取り入れ始めたのは1920年代だと言われている。フランスに居を構え、当代きってのファッショニスタとしても知られていたアメリカ人画家ジェラルド・マーフィ。彼が海辺でのリゾートファッションに取り入れたのが発端というのが有力だ。友人であった画家のパブロ・ピカソや小説家のアーネスト・ヘミングウェイといった巨匠たちもその影響を受け、自身のトレードマークになるほどバスクシャツを愛用した。また、ココ・シャネルが普段着として取り入れたことで女性にも人気は広がる。海軍の兵士が着ていたユニフォームに触発されて、彼女がマリンのコレクションを発表したのは有名な話だ。こうして文化人やセレブリティの間で流行し、やがてファッションとしての市民権を獲得していった。

ちなみに、日本以外では「バスクシャツ」と言っても通じない。ヘミングウェイの小説『海流のなかの島々』(新潮社刊)の和訳にこの呼称が登場し、日本独自に広まったそうだ。ボーダーシャツのメーカーが多いブルターニュ出身の船員が多かったことから「ブルトンシャツ(Breton Shirt)」や「ブルトンストライプ(Breton Stripes)」とか、女性用のセーラー服を意味する「マリニエール(Marinière)」と呼ぶのが一般的らしい。

〈オーシバル〉のバスクシャツが当時メンズサイズのみの展開だったこともあり、身体が泳ぐほどぶかぶかなものをラフにまとったシャルロット。印象的なピクシーカットのジーン・セパーグが、チノパンで見せた中性的な愛らしさ。フレンチ・ロリータの代表、ブリジット・バルドーのキュートで小悪魔的なスタイル。とびきり素敵で個性豊かな装いの数々は、相変わらず私たちを魅了する。デニムを合わせてノンシャランに、ジャケットを合わせて小粋に、オーバーサイズもジャストサイズも捨てがたい。

さて、今ならどう着こなそうか。

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Photograph_ Reiko Toyama
Text_ Kanako Uchida
Hair & make-up_ Katsuyoshi Kojima(TRON)
Model_ Simon(BE NATURAL)、Mia Kitora(BE NATURAL)
Edit & Web_ Rhino inc.