
Standard Book ずっと大切にしたいもの。
リンガーTシャツ
Ringer T-shirt
体操着からユースカルチャーへ
アメリカンポップなTシャツ。
リンガーTシャツとは、首回りやそで口にボディと色違いの生地をパイピングであしらった丸首のTシャツのこと。”リンガー”の名はパイピング部分の形状が、”輪=ring”のように見えることに由来する。また、縁取り仕上げを指すトリミングから”トリムTシャツ”とも呼ばれることもある。
リンガーTシャツの原型が誕生するのは1930年代頃。ルーツは運動競技用のアスレチックウェア、いわゆる体操着である。Tシャツの襟ぐりやそで口を伸縮性のあるリブでパイピングすることにより強度を高め、ほつれにくくヨレにくいという機能性を付加したものが始まり。「学生時代の体操着がまさにこれだった!」という方も多いのでは。
1960年代後半になるとアメリカの学生を中心に流行。70年代には平和のメッセージやイラストをプリントしたリンガーTシャツとフレアジーンズの組み合わせがヒッピームーブメントを象徴するスタイルに。その後、日本には80~90年代に巻き起こったアメカジブームに乗って上陸し、若者たちの心を掴んだ。


デザインの特徴はボディとパイピングの配色。シンプルな無地もシックなボーダー柄も、パイピングのアクセントがあることで、ポップでいなたいニュアンスが出るのが魅力。プリントもさまざまで、ブランドや企業のコーポレートロゴ、キャラクターやイラスト、グラフィック、メッセージまで。カレッジTやバンドT、スーべニアTとしてもおなじみで、現在ではヴィンテージ市場でもブーム復活の兆しだとか。
映画の中でも数々のリンガーTが観られる。1953年の映画『乱暴者』で、マーロン・ブランドがレザーライダースに合わせたのがリンガーTシャツとリーバイスの501XX。当時のバイカースタイルに大きな影響を与えた。1983年の『アウトサイダー』ではエミリオ・エステベスがミッキーマウスのリンガーTの袖をカットオフして着用。1995年『KIDS』のクロエ・セヴィニーはブルーに白いパイピングのガーリーなリンガーTで登場。そのファッションは90年代に生まれたストリートブランドたちの台頭も象徴していた。バイカー、バッドボーイズ、ストリートキッズ...リンガーTシャツにアメリカのユースカルチャーの匂いがするのは、こんなところが理由なのかもしれない。

“ただパイピングがあるだけ”なのに、その効果は絶大。1枚でも存在感があり、シャツやジャケットのインナーにすれば襟元のポイントにもなる。クラシックな体操着から派生したリンガーTシャツは、レトロポップなムード、ヴィンテージ感、ほろ苦い青春の香りなど、シンプルな中にさまざまなイメージを想像させるユニークなスタンダード。90’sのようなタイニーなサイズ感やクロップ丈のデザインも今また新鮮に映る。
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Text_ Naoko Sasaki
Hair & Make up_ Yukiko Imanishi
Model_ Nono Horii(SATORU JAPAN)、Umaru(STANFORD)
Edit & Web_ Rhino inc.