
Standard Book ずっと大切にしたいもの。
ニューエラ
NEW ERA
ワールドスタンダードが作り出す
ベースボールキャップの魅力。
野球少年や野球ファンのみならず、今では性別も年齢も越えるスタンダードとして定着したベースボールキャップ。昨今の80-90’Sストリートファッションブームも人気を後押しし、数多くのブランドからもリリースされている。もちろん定番は、NY(ニューヨーク・ヤンキース)やLA(ロサンジェルス・ドジャーズ)のエンブレムでおなじみ、メジャーリーグベースボール(MLB)唯一の公式キャップメーカー〈ニューエラ〉だろう。その歴史はおよそ100年前に遡る。
1920年、アメリカ・ニューヨーク州のバッファローにて、エルハルド・クックがEクック・キャップ会社という帽子メーカーを創業、1922年に社名をニューエラ・キャップに改める。当時流行していたギャツビースタイルと言われる紳士用カジュアルハットの製造が中心だった。転機が訪れたのは1932年。エルハルドの息子であるハロルド・クックがアメリカでのベースボール人気に着目し、スポーツキャップのビジネスに参入を始める。〈ニューエラ〉初のベースボールキャップはクリーブランド・インディアンズの公式キャップに採用、1934年のことであった。


〈ニューエラ〉では品質第一を掲げ、汗止めのバンドをレザーからコットンに変えるなどの改良に随時努めてきた。どんな頭囲の人でもジャストで被れるように、1/8(約1cm)刻みの独自の規格=フィッテドサイズの考案もその一つである。1954年、従来のフィッテドキャップに改良を加えた「59FIFTY」が誕生。これが後にMLBの公式選手用キャップとして採用されるマスターピースとなる。フラットなバイザー、ヘルメットのようにかっちりした深いクラウン。6枚のパネルで構成される丈夫な作りは、職人の手作業により22工程を経て作り上げられ、今でもそのシルエットをほぼ変えていない。ゴールドのバイザーステッカーにはモデル名とフィッテドサイズが記載されている。1993年、MLBにより全24球団のオンフィールドキャップを製造する独占的な権利を獲得、生産に着手してから61年の月日が経っていた。カスタムキャップが登場したのは1996年。ニューヨーク・ヤンキースの熱狂的なファンである映画監督のスパイク・リーが赤いヤンキースキャップを個人的にオーダーしたのが始まり。チームカラー以外のキャップを作るという新しい発想は、その後の多様なバリエーションやコラボに繋がり、ファッションとの関わりを深めるきっかけとなる。

〈ニューエラ〉のアイコンとして知られるバイザーステッカーにはゴールドとシルバーがある。59FIFTYなどのサイズ展開モデルはゴールド、9FIFTYなど9から始まるアジャスター付きのモデルはシルバーで、サイズの代わりにADJUSTABLEと記されている。中でも、9TWENTYは、カーブしたバイザーと浅めのナチュラルなシルエット、軽いかぶり心地が特徴で、さまざまなバリエーションがリリースされている。エンブレムやロゴを小さくリサイズしたもの、シックなベージュやホワイトまでの色展開は、日常のファッションにしっくり馴染むもの。スウェットやTシャツとの相性はもちろん、シャツやワンピースなどきれいめのスタイルにはスポーティな程よい抜け感を出すことができる。リーズナブルなのでコーディネートや雰囲気に合わせて選べるのも嬉しいところ。
100年を越える歴史と品質にこだわり続ける姿勢、ワールドスタンダードの信頼の上に成り立つ自由な遊び心。ごくシンプルなベースボールキャップに息づくストーリーが世界中で愛される理由である。
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Text_ Naoko Sasaki
Hair & Make up_ Yukiko Imanishi
Model_ Nono Horii(SATORU JAPAN)、Umaru(STANFORD)
Edit & Web_ Rhino inc.