
Standard Book ずっと大切にしたいもの。
パックT
Pack Tee
究極のミニマル、
進化するスタンダード。
誰もが持っている、究極のスタンダードアイテム=「Tシャツ」。その歴史を少し振り返ってみると・・・。アメリカ海軍の船乗りたちが肌着として愛用していた丸首シャツを、1930年頃、当時下着製造メーカーであったヘインズ社が「コブ(水兵)シャツ」と名付けて販売したものがTシャツの始まりと言われている。「パックT」がヘインズから登場したのは1947年。毎日着る身近なアイテムをリーズナブルな価格でまとめ買いしたいという要望に応え複数をセットで売り出したもので、現在の「3P Pack T-Shirt」の原型である。アンダーウエアとして世に出たTシャツはその後、50年代のハリウッド映画で、マーロン・ブランドやジェームス・ディーンが1枚で着たことで若者たちにファッションとして受け入れられて行く。そして、60年代のブリジット・バルドー、70年代のジェーン・バーキン、ジャクリーン・ケネディなど、時代のスタイルアイコンの魅力的な着こなしもあいまって、世代もジェンダーも超えて愛される定番となってきた。


〈ユナイテッドアローズ〉でパックTの取り扱いを始めたのは、1990年代後半の頃から。カジュアルファッションを提案していくなかで、値段に関係なくモノの価値を捉え、いいものを取り入れるという概念が背景にあった。Tシャツは引き算の究極なアイテム。中でもごまかしの効かない無地は、本当の意味での勝負服といえるかもしれない。だからこそ細部が重要で、ミニマルな中に様々なこだわりが詰め込まれている。コットンの品質、生地感、天竺の編み立て方から、ネックのリブの幅や詰まり具合、身幅と着丈のバランス、袖の長さや太さなどなど。そして、普遍的なアイテムだからこそ、何を選んでどう着るか、そこに個性が自然と滲み出る。読み継がれるファッションバイブルの一つ『チープ・シックーお金をかけないでシックに着こなす法』(1977年/草思社刊)では、巻頭の「ベーシックという、とても大切なもの」という章で、Tシャツを挙げている。「とても気に入ったTシャツが見つかったら、おなじものを何枚か買うといいのです。完璧なTシャツ5枚と、やはり完璧なジーンズが3本あれば、相当ながいあいだ幸せでいられます。」お気に入りのTシャツを見つけることは、幸せにつながる一大事なのである。

パックTも時代と共に進化している。そもそもの手頃なセット販売という概念から、昨今は上質な素材を用いたパックTがラグジュアリーブランドからもリリースされている。また、老舗のみならず、クオリティに定評のあるブランドとのコラボも盛んに行われ、素材や着心地を追求したもの、抗菌防臭などの機能性を持つものなど、個性溢れるモデルがラインナップされている。選択肢は楽しく広がるばかり。さて、どの1着を選ぼうか。
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Text_ Naoko Sasaki
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Edit & Web_ Rhino inc.