
Standard Book ずっと大切にしたいもの。
ノルディックセーター
Nordic Pattern Sweater
北欧の自然に思いを馳せる、
冬を楽しむ伝統柄セーター。
アラン、カウチン、フェアアイル、ガンジーなど、伝統的なセーターには、それぞれの風土に根付いた暮らしと文化、手仕事による素朴な温かみが息づいている。ノルディックセーターは、ノルディック地方=北欧に古くから伝わる模様を編み込んだ厚手のセーターのこと。北欧の冬は長く厳しい。だからこそ、農閑期の副業として手芸や工芸が発達し、大切に守られてきた。手編みのセーターは、北欧の文化を象徴する1着でもある。
ノルディック地方で伝統的に用いられてきた柄は、雪の結晶、トナカイ、もみの木、山、星など、身近で広大な自然と寒冷な天候からインスパイアされた図案や幾何学模様が多く、ルース・コフタと呼ばれる水玉風の点描柄を繰り返し用いたデザインも特徴的。極寒の中、暖かく過ごせるように全体に編み込み模様を施し、さらに二重に編むことで肉厚に仕上げ、保温性を高めている。


ノルディックセーターに多く見られる丸ヨークのデザインを象徴するのが、アイスランドのロピーセーター。アイスランド羊毛(ロピー)を用い、丸編みの技法で、首から胸周りに模様を編み込んだもの。グリーンランド・ヨーク、エスキモー・ヨークとも呼ばれ、1930年代デンマークのグリーンランド・エスキモーたちのビーズの肩掛けから発想し、1940年代に流行し始めたとされる。シェブロンと呼ばれる特徴的なギザギザの幾何学模様は山を表している。またナベナというトゲのある植物の実でセーターを引っ掻いて起毛させることで、毛足を長く柔らかく、暖かくする加工を施していた。
北欧のニット文化については、バイキングがビザンチン帝国より編み物の技術を習得し、北欧やシェットランド諸島に持ち帰ったという説も興味深い。柄については、土地ごとの固有柄の一方で、同じような編み柄、技術が北欧全体に共通して見られるのも特徴的だ。

さて、ノルディックセーターは多くのブランドからリリースされ、素材はシェトランドウール、モヘア、アルパカ、シャギーな起毛仕上げにしたものも。ボリューム感たっぷりのオーバーサイズや、身幅をゆったりさせたショート丈など、今日的なアレンジにも注目したい。暖かなセーターに包み込まれる幸せは、寒い冬ならではの楽しみ。自然あふれる素朴な北欧の暮らしに思いを馳せてみるのもいいかもしれない。
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Text_ Naoko Sasaki
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Edit & Web_ Rhino inc.