
Standard Book ずっと大切にしたいもの。
マルチボーダーTシャツ
Multi Border T-shirts
70’s西海岸の空気感、
レトロな配色のボーダーT。
ボーダー柄の起源は16世紀頃、フランスとスペインにまたがるバスク地方の船乗りたちが着ていた伝統的な手編みの縞模様のセーターといわれている。長い間、船乗りたちの仕事着であったボーダー柄だが、18世紀後半までのヨーロッパ地域では「2色から成り立つ洋服を着てはいけない」という宗教的な観点から、一般的な庶民が着ることはなく、囚人や道化師など当時の社会的に軽視されていた人々が着用させられていたという。確かに、囚人服やピエロの衣装として白黒ボーダーの印象は現在でも残っている。そのイメージが大きく変わるきっかけが、1776年のアメリカの独立と1789年に勃発したフランス革命。赤、白、青のトリコロールの縞模様は「自由の象徴」として世界的に広まっていく。その後、19世紀に入り、1858年にはフランス海軍の水兵の制服としても採用される。
ファッションアイテムとして脚光をあびたのは1913年。ココ・シャネルが海軍の制服だったセーラースーツをジャージー素材の女性用アイテムとして作り変えたのが最初と言われている。その後、シャネル自らもボーダーTシャツをパンツルックで着こなし、世の中に大きな影響を与える。1923年にはパブロ・ピカソが〈セント ジェームズ〉のバスクシャツ「NAVAL」を着用したことをきっかけに欧米のリゾート地で大流行。アーネスト・ヘミングウェイ、アンディ・ウォーホル、オードリー・ヘプバーン、ブリジット・バルドーなど多くの著名人からも愛され、ボーダーはマリンルックやフレンチカジュアルの定番柄として広く認知されることになる。

複数の色を組み合わせたマルチボーダーは、1960年代のポップアートやヒッピームーブメントの影響を受け、色彩豊かなアイテムとして登場。英語圏では「multi-stripe」や「multi-colored stripes」と表現されることが多い。配色の組み合わせとストライプの構成によってスポーツからモードまで多様なイメージを表現できるのも特徴で、ブランドの個性やコンセプトを視覚的に伝えるツールとしても重宝されてきた。中でも、1970年代に西海岸のサーファーの間で愛されたというどこか懐かしさを感じさせるデザインが今再び注目を集めている。レトロな配色に西海岸のいなたいムードが漂うマルチボーダーはこれからの新たなスタンダードになりそうだ。
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Text_ Naoko Sasaki
Hair & Make up_ Shikie Murakami
Model_ REIA(NUMBER EIGHT)、VINCENT(NUMBER EIGHT)
Edit&Web_ Rhino inc.